トマス・ヘイ (第9代キノール伯爵)

第9代キノール伯爵トマス・ヘイ：生涯と政治キャリア

第9代キノール伯爵トマス・ヘイ（1710年6月4日 – 1787年12月27日）は、グレートブリテン王国の政治家であり、スコットランド貴族でした。1719年から1758年まではダプリン子爵の儀礼称号を使用していました。

生い立ちと教育

トマス・ヘイは、第8代キノール伯爵ジョージ・ヘイとアビゲイル・ハーレーの息子として生まれました。ウェストミンスター・スクールで教育を受けた後、オックスフォード大学クライスト・チャーチに進学し、国王ジョージ1世からの援助を受けました。しかし、オックスフォード大学在学中は悲しんだり涙ぐむことが多かったと伝えられています。

1729年に大学を卒業後、父が在オスマン帝国イギリス大使を務めた際には随行し、コンスタンティノープルへ向かいました。1740年末には、父のバルバドス総督任命を初代ニューカッスル公爵に申請しましたが、失敗に終わりました。

政界入り

1736年、スカーバラ選挙区の補欠選挙に出馬し、政界入りを目指しましたが、選挙申し立ての結果、落選となりました。1741年の総選挙でケンブリッジ選挙区から出馬し、当選を果たしました。その後、1747年と1754年の総選挙でも再選されています。庶民院議員としては、ノバスコシア植民地の状況改善に尽力し、選挙及び特権委員会の議長を務めました。

1741年4月にはアイルランド歳入官に任命され、1746年には下級商務卿に昇進しました。1754年には下級大蔵卿に転じ、1755年には陸軍支払長官に就任しました。ヘンリー・ペラムの死後、ニューカッスル公爵に選挙計画を説明するなど、選挙に関する事務も手伝いました。

ランカスター公領大臣

1757年に陸軍支払長官を退任し、1758年に枢密顧問官に任命され、ランカスター公領大臣に就任しました。同年、父の死去に伴いキノール伯爵位を継承しました。

1760年にはポルトガル王国への特別全権公使に任命され、リスボンに赴任しましたが、総選挙が近づいたため、ニューカッスル公爵の命令で帰国しました。1762年にニューカッスル公爵が辞任すると、デヴォンシャー公爵との友情を理由にランカスター公領大臣を辞任しました。

晩年

ランカスター公領大臣の辞任後は政界から引退し、領地管理に専念しました。1765年にはスコットランド事務の担当者への就任を打診されましたが、辞退しました。1765年から死去するまでセント・アンドルーズ大学総長を務めました。領地では植樹を精力的に行い、パース・ブリッジの完成に尽力しました。1768年にはスコットランド・キリスト教知識普及協会会長に選出されました。

1787年12月27日、ダプリン城で死去し、アバダルギーの教区教会に埋葬されました。爵位は弟の息子が継承しました。

人物評

トマス・ヘイは、3人の首相に重用されましたが、同時代の人々からは退屈な人物として評されていました。しかし、財務に関する知識は豊富であり、ニューカッスル公爵を指導したこともありました。議会演説については、形式やつまらない事に拘泥したと評される一方で、演説者として全くダメというわけではありませんでした。大法官のハードウィック伯爵、王座裁判所首席裁判官の初代マンスフィールド伯爵ウィリアム・マレー、首相の第2代ロッキンガム侯爵チャールズ・ワトソン＝ウェントワースなど、同時代の政界や文壇の著名人と親交がありました。

家族

1741年、コンスタンシア・カール＝アーンリーと結婚し、1男をもうけましたが、早世しました。コンスタンシアの死後、その遺産をめぐり裁判を起こし、最終的に年金を受け取ることで決着しました。

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