トミスラヴ・ニコリッチ

トミスラヴ・ニコリッチ：セルビアの政治家、元大統領

トミスラヴ・ニコリッチ（Томислав Николић）は、1952年2月15日生まれのセルビアの政治家です。彼はセルビアの第4代大統領を務めました。彼の政治キャリアは、セルビア急進党（SRS）から始まりましたが、後にセルビア進歩党（SNS）を設立し、その党首となりました。

来歴

1990年代初頭、ニコリッチは人民急進党に参加し、その後セルビア・チェトニク運動と合併してセルビア急進党を結成しました。彼は1991年1月23日の創設以来、セルビア急進党の一員であり、後に副党首に選出され、3度再選されました。

ニコリッチは1991年から国民議会議員を務めており、2010年までその地位を維持した唯一の人物です。スロボダン・ミロシェヴィッチ政権下では、ニコリッチとヴォイスラヴ・シェシェリは懲役3ヶ月を宣告され、刑務所で服役しました。しかし、1998年3月には、セルビア急進党は社会党との連立政権を樹立し、ニコリッチはセルビア共和国の副首相、そして1999年からはユーゴスラビア連邦共和国の副首相となりました。

2007年5月8日、国民議会はニコリッチを議長に選出しました。しかし、民主党とセルビア民主党が連立政権の樹立を前提とした連合を形成すると、ニコリッチは議長の座を失いました。この結果、ニコリッチは民主化以降の旧ユーゴスラビア諸国で、史上最短で国民議会議長職を失った人物となりました。

物議を醸す発言も多く、2003年2月23日には、ゾラン・ジンジッチ首相暗殺の20日前に、「向こう1、2ヶ月ほどの間、ゾラン・ジンジッチを見かけたら、ヨシップ・ブロズ・チトーも死の直前に脚に問題があったと知らせてやれ！」と発言しました。

大統領選挙

ニコリッチは、2000年、2003年、2004年、2008年、2012年の大統領選挙に出馬しました。2000年の選挙では3位でしたが、その後も挑戦を続け、2012年の大統領選挙で勝利し、セルビアの大統領に就任しました。

セルビア急進党からの離脱と新党設立

2008年9月6日、ニコリッチはセルビア急進党を離党し、セルビア進歩党を設立しました。この背景には、欧州連合加盟を巡るニコリッチと他の急進党幹部との立場の違いがありました。彼は新しい政治勢力として、セルビアの発展を目指しました。

戦争犯罪に関する糾弾

2005年、人道主義法センターは、1991年8月にクロアチアのアンティンで起こった虐殺について調査を求めました。生存者は、ヴォイスラヴ・シェシェリ率いる義勇軍が虐殺を行ったと証言し、その中でニコリッチについても言及しました。しかし、ニコリッチはこれらの主張を否定し、自身は一発の弾丸も放っていないと述べました。

航空機事故

2015年4月17日、ニコリッチがローマを訪問するためにチャーターした航空機が、機体の急降下に見舞われました。原因は副操縦士が計器盤にコーヒーをこぼし、非常ボタンを押してしまったことでした。幸いにも墜落は免れましたが、エンジンが停止する事態となりました。

トミスラヴ・ニコリッチは、セルビアの政治において重要な役割を果たした人物であり、その政治キャリアは多くの変遷を経て、セルビアの現代史に深く刻まれています。

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