トミー・ボーリン

トミー・ボーリン：早逝の天才ギタリスト

トミー・ボーリン（Tommy Bolin、1951年8月1日 - 1976年12月4日）は、アメリカのロック史に名を刻むギタリストです。ジェイムス・ギャングやディープ・パープルといった著名なバンドでの活動に加え、ソロアーティストとしても才能を発揮しましたが、25歳という若さで急逝しました。

生い立ちと音楽への目覚め

アイオワ州スーシティで生まれたボーリンは、幼少期から音楽に親しみました。12歳でドラムを始め、その後ギターに転向。オルガンも演奏した経験があると言われています。初期には様々のアマチュアバンドで腕を磨き、1968年にはハードロックバンド、ゼファー（Zephyr）のギタリストとしてプロデビューを果たします。

ジェイムス・ギャングへの加入と才能の開花

ゼファー脱退後、ボーリンはエナジー（Energy）というバンドを経て、1973年にジェイムス・ギャングに加入します。ジョー・ウォルシュの後任として迎えられ、アルバム『バング』（1973年）と『マイアミ』（1974年）の制作に参加しました。ジェイムス・ギャング在籍中には、ジャズ・ドラマーのビリー・コブハムのアルバム『スペクトラム（Spectrum）』に参加し、その革新的なギタープレイは高い評価を得ました。

ディープ・パープルでの挑戦と苦悩

1975年、ボーリンはリッチー・ブラックモアの後任としてディープ・パープルに加入。ジョン・ロードが『スペクトラム』でのギター・ソロに感銘を受けたことがきっかけでした。しかし、アルバム『カム・テイスト・ザ・バンド』は音楽性の変化から賛否両論を呼び、ボーリン自身もプレッシャーを感じていました。1976年の日本公演では、麻薬の影響で演奏に支障をきたすなど、苦悩の日々を送りました。

ソロ活動と突然の死

ディープ・パープル解散後、ボーリンはソロ活動に専念し、2枚のアルバムを発表。自身のバンドを結成し、ツアーを行いましたが、1976年12月4日、ジェフ・ベックのツアーに前座として参加中、フロリダ州マイアミで急逝しました。死因は麻薬の過剰摂取とされています。

死後の評価と影響

トミー・ボーリンの死後、彼の音楽は再評価されるようになります。特に、ビリー・コブハムの『スペクトラム』での演奏や、ディープ・パープルでの革新的なアプローチは、多くのギタリストに影響を与えました。彼の使用したギターやアンプ、エフェクターも研究され、そのサウンドは多くのフォロワーを生み出しています。

ディスコグラフィー

リーダー・アルバム

『ティーザー』 - Teaser (1975年)
『當墓林 (魔性の目)』 - Private Eyes (1976年)
その他、多数のコンピレーション、アウトテイク集、ライブ・アルバム

ジェイムス・ギャング

『バング』 - Bang (1973年)
『マイアミ』 - Miami (1974年)

ディープ・パープル

『カム・テイスト・ザ・バンド』 - Come Taste the Band (1975年)
* 『ラスト・コンサート・イン・ジャパン』 - Last Concert in Japan (1977年)

トミー・ボーリンは、短い生涯の中で多くの音楽的遺産を残しました。彼のギタープレイは、今もなお多くの人々に感動を与え続けています。

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