トムスク

トムスク：シベリアの歴史と文化が息づく古都

トムスク（Томск, Tomsk）は、ロシア連邦のシベリア連邦管区に属するトムスク州の州都です。人口は約55万人（2021年時点）で、シベリアの中でも特に古い町として知られ、2004年には都市建設400周年を迎えました。

地理と気候

トムスクはトミ川に面しており、トミ川がオビ川に合流する地点から約60km上流に位置しています。地理座標は北緯56.50度、東経84.97度です。気候は寒冷で、1月の平均気温は-19℃から-21℃、7月の平均気温は+17℃から+18℃です。年間平均気温は-1.3℃で、年間降水量は435mmです。冬は非常に厳しく、1969年1月には-55℃という記録的な低温を記録しました。

交通

トミ川を利用した水運が盛んで、河港も設けられています。また、シベリア鉄道のトムスク支線が通っています。かつては、周辺の湿地帯のため陸上交通が不便であり、水運がより重要な役割を果たしていました。現在では、トムスク市内には市電も運行されています。

歴史

トムスクの起源は1604年に遡ります。当時のツァーリ、ボリス・ゴドゥノフがコサックのガヴリル・ピセムスキーにトミ川沿いの要塞建設を命じたことが始まりです。その後、軍事拠点として発展し、地域の行政中心地となりました。1782年には都市として登録され、1804年にはトムスク県の県都となりました。

1830年代には、シベリアでの金採掘が盛んになり、人口が急増しました。一時シベリア最大の都市となりましたが、シベリア鉄道建設の際、トムスクは幹線から外れてしまいました。これは、トムスク先のオビ川周辺に湿地帯が多かったため、鉄道建設が困難と判断されたためです。シベリア鉄道はトムスクの南側を通るルートで建設され、トムスクへは支線が伸びるのみとなりました。この結果、トムスクは東西交通の恩恵を受けられなくなり、ノボシビルスクなどのシベリア鉄道沿いの都市にシベリア最大の都市の座を譲ることになりました。

1917年のロシア革命後、トムスクはシベリア地方の一部となり、その後、西シベリア地方に改称されました。1937年にはノヴォシビルスク州に属する都市となりました。第二次世界大戦中には、ヨーロッパ・ロシアから多くの工場がトムスクに移転しました。1944年8月13日にはトムスク州が設置され、トムスクはその州都となりました。1950年代には、高濃縮ウランとプルトニウムの工場および従業員の街が近郊に建設され、これは後に核兵器を扱う閉鎖都市「トムスク7」（現在のセヴェルスク）となりました。この周辺は放射性物質による汚染が報告されています。

教育

トムスクは教育都市としても知られています。1878年に設立され、1888年に開校したトムスク大学は、シベリア初の大学です。また、1896年にはシベリア初の技術専門学校が開校し、これは後にトムスク工科大学となりました。

スポーツ

トムスクをホームとするプロサッカークラブ、FCトム・トムスクが存在し、ロシア・ナショナル・フットボールリーグ（2部リーグ）に所属しています。2010年には、元日本代表の松井大輔選手も在籍していました。

友好都市

トムスクは以下の都市と友好提携を結んでいます。
モンロー（アメリカ合衆国、1995年提携）
トビリシ（グルジア、2002年提携）
蔚山（大韓民国、2003年提携）
ノヴォロシースク（ロシア連邦、2008年提携）
* スモレンスク（ロシア連邦、2009年提携）

トムスクに由来する事物

メインベルトの小惑星(4931) Tomskは、トムスクにちなんで命名されました。

トムスクは、シベリアの歴史と文化を今に伝える重要な都市であり、その豊かな歴史と文化は今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

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