トムソン (情報サービス業)

トムソン（The Thomson Corporation）の歴史と変遷

トムソンは、かつてカナダに本社を置いていた、世界的な大手情報サービス企業でした。ウッドブリッジ社傘下の企業として、その影響力は非常に大きいものでした。2008年4月17日、通信社であるロイターを買収したことで、トムソン・[[ロイター]]という新たな企業へと生まれ変わりました。

起源：新聞社買収から情報企業へ

トムソンの歴史は、ロイ・トムソンが1934年にオンタリオ州ティミンズの新聞社「ティミンズ・プレス」をわずか200ドルで購入したことから始まりました。その後、ロイは友人であるジャック・ケント・クックとともに、オンタリオ州各地で新聞社やラジオ局を次々と展開していきました。この初期の事業拡大が、後の巨大情報企業への礎を築いたと言えるでしょう。

多岐にわたる事業展開

トムソンは、ロイターとの統合前には、以下の5つの主要な部門を有していました。

トムソンファイナンシャル（Thomson Financial）: 金融市場に関する情報や分析を提供。
トムソンヘルスケア（Thomson Healthcare）: 医療情報や医療従事者向けのデータベースを提供。
トムソンリーガル（Thomson Legal）: 法曹界向けの情報や法律関連のデータベースを提供。
トムソンサイエンティフィック（Thomson Scientific）: 学術研究者向けの文献データベースや分析ツールを提供。
* トムソンタックス&アカウンティング（Thomson Tax & Accounting）: 税務・会計専門家向けの情報やソフトウェアを提供。

これらの部門は、それぞれが専門性の高い情報サービスを提供しており、各業界におけるトムソンの影響力を高める要因となっていました。

教育部門の売却と変遷

2007年まで、トムソンは高等教育の教科書出版などを手掛ける「トムソンラーニング」という教育部門を持っていました。しかし、この部門は2007年5月にベンチャーキャピタルであるApax Partnersに売却され、同年7月には「センゲージラーニング（Cengage Learning）」という名称に変更されました。さらに、トムソンラーニング傘下にあったテスト実施企業「プロメトリック」は、2007年10月15日に教育試験サービス（ETS、TOEICやTOEFLを実施する非営利団体）に売却されました。教育部門の売却は、トムソンが情報サービス事業に集中していくための方針転換を意味していました。

ロイターとの統合

2007年5月15日、トムソンはロイターを約87億ポンド（約2兆1000億円）で買収することで合意しました。この買収により、両社は統合され、2008年4月17日には新会社「トムソン・[[ロイター]]」が設立されました。この統合は、情報サービス業界における再編を象徴する出来事でした。

本社機能

トムソンの公式な本社はトロントにありましたが、実質的な本社機能はニューヨーク近郊のコネチカット州スタンフォードに置かれていました。このことから、トムソンがグローバル企業として、世界経済の中心地であるニューヨークに強い拠点を置いていたことがうかがえます。

日本法人

日本法人としては、1997年12月1日に「トムソンコーポレーション株式会社」が設立されました。トムソンとロイターの統合に伴い、トムソンコーポレーションは「トムソン・[[ロイター]]・プロフェッショナル株式会社」に社名を変更し、現在も事業を継続しています。

その他

トムソンは、毎年自然科学におけるノーベル賞受賞者候補を独自に選定し、発表していました。この活動は、トムソン・[[ロイター]]に引き継がれ、現在も継続されています。この活動は、科学界への貢献という側面を持ち、トムソンの社会的責任を果たすためのものでもありました。

トムソンは、その歴史を通じて、情報サービス業界に大きな影響を与えてきました。新聞社買収から始まったこの企業は、多岐にわたる情報サービスを提供し、最終的にはロイターとの統合によって、新たな情報サービス企業へと生まれ変わりました。

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