トムソン・ロイター

トムソン・ロイターについて

トムソン・ロイター（Thomson Reuters）は、カナダのトロントを本拠とする国際的な情報サービス企業です。この企業は、金融、法務、科学などの専門情報を提供し、グローバルなニュースソースとしても知られています。トムソン・ロイターは、2008年にカナダのトムソン・コーポレーションがイギリスの老舗通信社ロイターを買収することで誕生しました。

沿革と買収の背景

トムソンは当初、ロイターの買収に87億ポンドの価格を提示しましたが、実際の取引価格は80億ポンドとなりました。この買収の目的は、2つの大手メディアグループを統合し、金融ニュースと情報の主要な発信源を作り出すことでした。しかしながら、統合後には期待される恩恵が十分に見られないとの評価もあります。金融データ市場では、トムソン・ロイターのシェアが競合のブルームバーグに接近し、かつてのような優位性が薄れてきています。

組織再編と事業の売却

トムソン・ロイターの統合後、旧トムソンと旧ロイターの事業は2つの主要部門に再編されました。一つは市場部門で、金融、企業ソリューション、メディアを含み、もう一つは専門部門です。専門部門には法務、医療・科学、税務・会計が含まれます。2011年には旧トムソン・ヘルスケア事業がベリタス・キャピタルに売却され、同年の初めにはCEOが交代しました。経営陣の交代に伴って、さらなる組織再編が行われ、金融・リスクや法務などの新しい部門構造が確立されました。

売却と資本提携

2016年には知的財産・科学の部門が他の企業に売却され、Clarivate Analyticsとして新たに歩み始めました。さらに、2018年には金融・リスク部門がブラックストーン・グループに売却され、Refinitiv（リフィニティブ）という名の新会社が設立されました。この取引により、トムソン・ロイターは新会社の一部を保持し、ロイターのニュースやコンテンツを引き続き提供するとしています。

人員削減と労働環境

過去数年間、トムソン・ロイターは業績不振の影響から、特に金融・リスク部門での人員削減を進めてきました。2013年には2500人の削減を計画し、その後さらに3000人を追加して削減する方針が発表されました。また、労働争議も起きており、内部告発や解雇に関する訴訟が相次いでいます。

日本法人の歩み

トムソン・ロイターの日本法人も、旧ロイターの日本支局や旧トムソンの日本法人が統合されて発展しています。1985年にはロイター・ジャパンが設立され、日本語でのニュースサービスを提供し始めました。その後、業務の拡張とともに様々な再編が行われ、今ではトムソン・ロイターとして、法律や税務、メディアに関連する専門情報を提供しています。

ノーベル賞予測の取り組み

2002年から2016年にかけて、トムソン・ロイターは毎年ノーベル賞受賞者の予想を発表し、学術文献引用データに基づき候補者を絞り込んでいました。これに関する事業は、現在は新たに設立されたClarivate Analyticsによって引き継がれています。

トムソン・ロイターは、情報サービス業界の重要なプレーヤーとして、今後も多くの人々や企業に価値ある情報を提供し続けることが期待されています。

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