トム・アスピナル

トム・アスピナル：驚異的なスピードとパワーのヘビー級ファイター

トム・アスピナルは、1993年4月11日、イギリスのグレーター・マンチェスター・サルフォードに生まれた総合格闘家です。ポーランド系イギリス人の家庭に育ち、7歳から父親の影響でレスリングとボクシングを始めました。その後、ブラジリアン柔術に転向し、全英選手権で黒帯以外の全階級を制覇するなど、高い実力を身につけました。父親がチーム・カオボンの柔術インストラクターに就任したことをきっかけに、本格的に総合格闘技のトレーニングを開始します。

アマチュアからプロへ

アマチュア総合格闘技では9戦全勝という圧倒的な成績を残し、2014年にプロデビュー。イギリスの団体を中心に活躍し、9戦7勝（6KO、1一本）の戦績を収めました。

UFCでの活躍

2020年7月、UFCデビュー戦でジェイク・コリアーをわずか45秒でTKO勝利。その後も、元UFC世界ヘビー級王者アンドレイ・アルロフスキー、セルゲイ・スピバック、アレキサンダー・ヴォルコフといった強豪を相手に、圧巻のKO勝利、一本勝ちを連発し、ヘビー級ランキングを駆け上がっていきました。しかし、2022年7月、カーティス・ブレイズ戦で膝の重傷を負い、TKO負けを喫してしまいます。

復活と暫定王座獲得

長期欠場を余儀なくされたアスピナルでしたが、2023年7月、見事な復活を遂げます。マルチン・ティブラを1R KOで下し、パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞しました。そして同年11月、UFC 295のメインイベントでセルゲイ・パブロビッチとUFC世界ヘビー級暫定王座決定戦で対戦。開始1分足らずで強烈な右ストレートを2発決め、パブロビッチをKOで下し、見事に暫定王座を獲得。この試合でもパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞しました。正規王者ジョン・ジョーンズの負傷欠場により実現したこの試合は、アスピナルにとって大きな飛躍の機会となりました。

2024年7月には、ブレイズとの再戦で暫定王座の初防衛に成功しました。アスピナルは、開始早々に左ジャブでダウンを奪い、パウンドで1RKO勝ち。パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞しただけでなく、正規王者であるジョン・ジョーンズが王座統一戦を拒否したため、実に約10年10ヶ月ぶりの暫定王座防衛戦という歴史的な試合となりました。

驚異的な戦績と人物像

アスピナルのUFCでの8勝のうち7勝は1ラウンドで決着しており、UFCにおける最短平均試合時間記録「2分2秒」を保持しています。その圧倒的なスピードとパワーは、多くのファンを魅了しています。

元UFC世界ヘビー級王者のフランク・ミアと容姿が似ていることから、ミアはアスピナルのUFCデビュー戦勝利後、「我が息子よ、家族へようこそ」とツイートするなど、話題となりました。また、ボクシングの元世界ヘビー級王者タイソン・フューリーのスパーリングパートナーを務めた経験があり、フューリーの父親からは総合格闘技とボクシングの両方で世界王座を獲得する最初の選手になると評されています。

16歳から1年間で身長が約23cmも伸びたという驚異的な成長を遂げたアスピナルは、英語とポーランド語の2カ国語を話すことができます。私生活ではポーランド出身の妻と3人の息子をもうけており、そのうち1人は自閉症を患っているとのことです。

今後の展望

圧倒的な強さとスピード、そして華麗なKO勝利で多くのファンを魅了するアスピナル。暫定王座獲得という大きな目標を達成した彼ですが、今後の正規王者との統一戦、そしてさらなる防衛戦、そして、ヘビー級の頂点を目指す道のりはまだ始まったばかりです。彼の今後の活躍から目が離せません。

もう一度検索