トム・エリクソン

トム・エリクソン：不遇の才能が開花したヘビー級格闘家

トム・エリクソン（Tom Erikson、1964年7月6日 - ）は、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴハイツ出身の男性総合格闘家です。「白鯨」「Big Cat」のニックネームで知られる彼は、その体格と潜在能力にもかかわらず、全盛期には対戦相手探しに苦労し、不遇の時代を過ごしました。

レスリングエリートから総合格闘技へ

エリクソンの格闘技キャリアはレスリングから始まりました。トライトン・カレッジでNJCAA王者として2度輝き、その後オクラホマ州立大学に編入。NCAAディビジョン1のオールアメリカンにも2度選出されるなど、輝かしい実績を残しました。レスリング時代には、同じく巨漢で知られるエマニュエル・ヤーブローにも勝利しています。トップレベルのレスリングチーム「rAw」の一員として、総合格闘技の世界に足を踏み入れました。

総合格闘家としての軌跡

1997年6月、ブラジルで開催されたBrazil Open '97トーナメントに出場し、決勝でケビン・ランデルマンをKOで下し、見事優勝を果たしました。同年8月にはレスリング世界選手権に出場のため一時レスリングに復帰し、フリースタイル130kg級で4位入賞という成績を収めています。

1997年10月には、アメリカで開催された組み技限定の格闘技イベント「THE CONTENDERS」で高阪剛と対戦。体重差とレスリングの経験を生かしてポジショニングで優位に立ち、判定勝ちを収めました。同年11月にはVALE TUDO JAPAN '97で初来日し、エド・デ・クライフにTKO勝ちを収めています。

2000年以降は、PRIDE、K-1など、より規模の大きな舞台へと活躍の場を広げました。2000年10月にはPRIDE.11でヒース・ヒーリングと対戦し、スリーパーホールドで一本負け。2004年3月にはK-1でシャノン・ブリッグスと対戦し、KO負けを喫しました。しかし、同年6月のK-1ではヤン・"ザ・ジャイアント"・ノルキヤにわずか55秒でKO勝ちを収めるなど、その実力を見せつけました。2005年5月にはPRIDE.29でファブリシオ・ヴェウドゥムと対戦し、スリーパーホールドで再び一本負け。2006年5月にはHERO'S 2006 ミドル級世界最強王者決定トーナメント開幕戦でアントニオ・シウバにマウントパンチでTKO負けを喫しました。

人柄とエピソード

ゲーリー・グッドリッジとは親交が深く、互いにセコンドを務めるなど、深い信頼関係で結ばれていました。総合格闘技での試合がなかなか組まれなかったことから、キックボクシング団体であるK-1と契約。レスリング出身で打撃系の格闘技経験がほとんどなかったにもかかわらず、マイク・ベルナルドやシャノン・ブリッグスといった強豪と対戦し、敗れはしたものの、カードを組んだ石井和義に感謝の意を示していたと言われています。

ジョン・フィッチやショーン・マッコークルなど、後にWSOF王者となる選手を育成するなど、指導者としても才能を発揮しました。

戦績

総合格闘技：省略
グラップリング：省略
キックボクシング：省略

獲得タイトル

Brazil Open '97 優勝（1997年）
* レスリング NCAAディビジョン1 オールアメリカン（1986年、1987年）

トム・エリクソンは、レスリングで培った強靭な肉体と精神力を武器に、総合格闘技とキックボクシングの世界でその名を刻んだ格闘家です。不遇の時代を乗り越え、常に挑戦し続けた彼の姿は、多くの格闘家やファンに勇気を与え続けています。

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