トム・テイラー

トム・テイラーは、1989年3月11日に生まれたプロフェッショナルラグビーユニオン選手です。バックスの様々なポジションを高いレベルでこなすユーティリティプレーヤーとして知られています。彼のラグビーのキャリアは、オールブラックスとして24キャップを持ち、第1回ラグビーワールドカップで優勝した元ニュージーランド代表選手、ワーウィック・テイラーを父に持つという、まさにラグビー一家の中で始まりました。

プロキャリアのスタートは、ニュージーランド国内における代表的な州対抗戦であるITMカップに参加するカンタベリー州代表チームでした。その後、南半球の主要クラブチームが競い合うスーパーラグビーに所属するクルセイダーズでプレーしました。クルセイダーズでの活躍が認められ、2013年には世界のトップチームの一つであるニュージーランド代表、通称オールブラックスに初めて選出される栄誉に浴します。同年8月24日に行われたオーストラリア代表とのブレディスローカップの一戦で待望の初キャップを獲得しました。その後、同年11月2日の日本代表戦を含む計3試合でオールブラックスの一員として国際舞台を経験しました。また、世界選抜チームとして知られるバーバリアンズにも選出された経験を持っています。

ニュージーランドでのキャリアに一区切りをつけた後、トム・テイラーは活躍の場をヨーロッパに移します。フランスの最高峰リーグであるTOP14に所属する強豪RCトゥーロンや、同じくTOP14のセクシオン・パロワーズ（ポー）でプレーし、ヨーロッパラグビーの洗礼を受け、国際経験をさらに豊かにしました。

2020年には、日本のラグビー界へと活動の場を移し、当時のトップリーグに所属していた東芝ブレイブルーパス（現在のジャパンラグビー リーグワン所属、東芝ブレイブルーパス東京）に加入しました。日本での公式戦デビューは、加入翌年の2021年3月26日に行われたトップリーグ第5節、NTTコミュニケーションズシャイニングアークス戦でした。この試合にはセンター（CTB）として背番号12で先発出場しましたが、不運にも前半18分に攻撃中に自身で脚を負傷してしまい、残念ながら途中交代を余儀なくされました。この怪我からの復帰後、2022年に新たな国内リーグとして開幕したジャパンラグビー リーグワンにおいては、主にスタンドオフ（SO）としてチームの司令塔を担いました。開幕節から10番として先発するなど、このシーズンは合計8試合に出場し、東芝の攻撃を牽引しました。

東芝ブレイブルーパス東京を離れた後、2023年にはジャパンラグビー リーグワンのディビジョン2に所属する九州電力キューデンヴォルテクスへ移籍しました。ここでもチームの主力バックスとして貢献しましたが、2025年5月をもって九州電力キューデンヴォルテクスを退団することが発表されており、日本でのプレーに一つの区切りを迎えることになります。

トム・テイラーのキャリアは、ニュージーランドのラグビーサラブレッドとして始まり、世界のトップレベルでのプレーを経て、フランス、そして日本のプロリーグと、実に多岐にわたる経験で彩られています。オールブラックスとしてのキャップ獲得はもちろん、異なるラグビー文化への適応力、そしてスタンドオフやセンター、フルバックといった複数のバックスポジションを高いレベルでこなすユーティリティ性は、彼の選手としての大きな魅力でした。怪我を乗り越えながら国内外で長く活躍した彼のキャリアは、多くのラグビー選手にとって模範となるでしょう。

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