トム・トラバーツ・ブルース

トム・トラバーツ・ブルース (Tom Traubert's Blues (Four Sheets to the Wind in Copenhagen))

トム・ウェイツが1976年に発表したアルバム『スモール・チェンジ』の1曲目に収録された楽曲。

解説

1976年、ウェイツはデビュー以来初となるロンドン公演を行い、その頃にこの曲が作られた。楽曲は、トム・ウェイツのピアノ弾き語りを中心とした演奏で、ストリングス・アレンジはジェリー・イェスターが担当している。

サビの部分では、オーストラリアのポピュラーソング「ワルチング・マチルダ」の一節が引用されている。トム・ウェイツはインタビューにおいて、「ワルチング・マチルダ」は放浪の旅のメタファーであるという趣旨の発言をしている。

シングル・カットはされていないが、トム・ウェイツの代表曲として知られている。トム・ウェイツの評伝『トム・ウェイツ 酔いどれ天使の唄』『トム・ウェイツ 素面の、酔いどれ天使』の著者であるパトリック・ハンフリーズは、「多くのファンがもっともトム・ウェイツらしいと思う曲」「時代を越えた名曲」と評している。また、トーマス・ワードはallmusic.comにおいて「疑いなくトム・ウェイツの最高傑作の一つ」と評した。

「トム・トラバーツ・ブルース」は、1996年に映画『バスキア』のサウンドトラックで使用された。日本においては、テレビ・スペシャル・ドラマ『THE WAVE!』（2005年7月）や、連続テレビドラマ『不毛地帯』（2009年）のエンディング・テーマに使用されている。

カバー

ロッド・スチュワート・バージョン

ロッド・スチュワートによるカバーは、1992年にシングルA面としてヨーロッパでリリースされた。このカバーを発案したのは、ワーナー・ブラザース・レコードの取締役であるロブ・ディッキンスである。ロッド・スチュワートは、ロブ・ディッキンスの演奏を聴いて、「この曲を録音しなければならない」と思ったという。

カップリング曲は、1991年のアルバム『ヴァガボンド・ハート』収録曲「ノー・ホールディング・バック」と、1989年のシングル・ヒット曲「ダウンタウン・トレイン」の2曲。「ダウンタウン・トレイン」もトム・ウェイツのカバーである。トム・ウェイツは、後にロブ・ディッキンスに「誰にもカバーできない曲を書いたつもりだったんだけどな」と語ったという。

このシングルは全英チャートで6位に達し、5週間に渡ってトップ10にランク・インした。「トム・トラバーツ・ブルース」は、1993年発売のコンピレーション・アルバム『リード・ヴォーカリスト』や、1996年発売のベスト・アルバム『ベスト・バラード・コレクション』にも収録されている。

ロッド・スチュワートは、1993年2月にMTVアンプラグドに出演した際にもこの曲を歌い、その模様はライブ・アルバム『アンプラグド』（1993年）に収録された。

その他のカバー

ボン・ジョヴィ - 『ドライ・カウンティ+ライヴ・アット・カウント・ベイシー・シアター』（1994年）
マリア・ジョアン&マリオ・ラジーニャ - 『アンダーカヴァーズ』（2003年）

外部リンク

トム・トラバーツ・ブルース - Discogs (発売一覧)

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