MTVアンプラグド

MTVアンプラグド: 音楽の真髄を探る

『MTVアンプラグド』は、1989年にMTVで放送が開始された音楽番組で、生楽器のみを使用したアコースティックライブを特徴としています。この番組の名称は、「プラグを抜いた」という意味から派生していますが、電気楽器を使わないことで、アーティストの本来の音楽性や感情をさらに引き出すことが目的です。

番組は、ボン・ジョヴィのメンバー、ジョン・[[ボン・ジョヴィ]]およびリッチー・サンボラの提案により企画されたもので、以来数々の有名アーティストが出演し、アコースティックの魅力を届けてきました。特にR.E.M.やニルヴァーナの回では、普段の楽曲とは異なる新しい一面が発見され、エリック・クラプトンやキッスの出演によっては、これまでのキャリアを再評価されるきっかけにもなりました。そのため、アーティストにとってMTVアンプラグドに出演することは名誉とされ、選ばれること自体が大きなステータスとなっています。

番組のフォーマットが特異であるため、収録した内容が必ずしも放送されるわけではなく、出来が満足できない場合はお蔵入りとなることもあります。それでも、全世界に放送されるため、最も多くのファンにアピールできる舞台とも言えます。1999年には、コアーズ、アラニス・モリセット、シャキーラの出演をもって本編が終了しましたが、その後もMTVやアーティストの要請に応じて不定期に放送され続けています。

特筆すべきは、1996年にCHAGE and ASKAがアジアのアーティストとして初めて出演したことです。この時の収録はロンドンで行われました。その後、MTVジャパンが2001年に開局し、宇多田ヒカルが開局イベントに出演。これを皮切りに、多くの日本人アーティストが日本版『MTVアンプラグド』に参加しましたが、本家MTVのレギュラー放送にアジアアーティストとして参加したのは、現在もCHAGE and ASKAだけです。

日本版『MTVアンプラグド』は定期的に行われ、2007年には布袋寅泰が高評価を得て、アジア・テレビジョン・アワード音楽番組部門で最優秀賞を受賞しました。2017年には、KinKi KidsととももいろクローバーZがそれぞれ初のアイドルグループとして、アコースティックなライブパフォーマンスを披露しました。

エピソードとしてもさまざまな興味深い出来事があります。1992年には、エリック・クラプトンが出演した号のライブアルバム『アンプラグド〜アコースティック・クラプトン』が大ヒットを記録し、番組の知名度を一気に引き上げました。また1993年のニルヴァーナの回では、葬式をテーマにした独特なセットが組まれ、翌年リーダーのカート・コバーンが自ら命を絶つという悲劇を連想させました。

また、1995年にはキッスが出演し、元メンバーのエース・フレーリーとピーター・クリスがゲスト参加するなど、バンド再結成のきっかけも生まれました。1996年のオアシスの出演予定がリアム・ギャラガーのドタキャンにより、ノエル・ギャラガーが全曲を歌うことになるという珍しいエピソードもありました。

日本人アーティストの活躍も目立ち、2003年には平井堅がニューヨークで記念すべき収録を行いました。さらに2012年にはJUJUがアジア人女性アーティストとして初めてMTVのタイムズスクエアでライブを行うなど、国際的にも注目される場となっています。2019年にはリアムが過去のドタキャンを補う形で公演を行い、アーカイブもリリースされています。

このように『MTVアンプラグド』は、音楽のパフォーマンスを新しい視点から捉え、多くのアーティストにとって記念すべき舞台となっており、ジャンルを超えて音楽の魅力を発信し続ける画期的な番組です。

もう一度検索