トム・ハウス

トム・ハウス：伝説の投手コーチ

トム・ハウス（Thomas Ross House, 1947年4月29日 - ）は、アメリカ合衆国ワシントン州シアトル出身の元プロ野球選手（投手）であり、後に名高い投手コーチとして名を馳せました。

現役時代：リリーフとして活躍

1965年にシカゴ・カブスからドラフト指名を受けるも、契約せずに南カリフォルニア大学へ進学。1967年にアトランタ・ブレーブスからドラフト3巡目で指名され、プロ入りを果たします。1971年6月23日にメジャーデビューを飾り、カーブとスクリューを武器に、ブレーブスのリリーフ投手として活躍しました。

1974年には56試合に登板し、102回2/3を投げて6勝2敗11セーブ、防御率1.93という素晴らしい成績を記録。翌1975年も58試合に登板し、7勝7敗11セーブをマークしました。その後、ボストン・レッドソックスを経て、1977年には故郷に誕生したシアトル・マリナーズに移籍。マリナーズでは先発も務めましたが、1979年シーズン直前に解雇され、現役を引退しました。

コーチとして：名投手を育成

現役引退後、1985年にテキサス・レンジャーズの投手コーチに就任。そこで、不振に苦しんでいた同い年のノーラン・ライアンを指導し、40歳を超えていたライアンを奇跡的に復活させました。ライアンとの二人三脚で編み出した独自のトレーニング法や調整法は、後年の投手に大きな影響を与え、その内容は著書として発表されています。その後も、ヒューストン・アストロズやサンディエゴ・パドレスでコーチを務め、数多くの名投手を育て上げました。

また、ボビー・バレンタイン監督とは旧知の仲であり、1995年と2003年には千葉ロッテマリーンズの秋季キャンプに臨時フィジカル・フィットネスインストラクターとして招聘され、小宮山悟、黒木知宏、渡辺俊介らを指導しました。

エピソード

流暢なスペイン語を操り、ラテンアメリカでも野球指導を行っていました。
心理学の博士号を取得しています。
現役時代にステロイド剤を使用した経験があることを告白しています。しかし、効果が現れなかったため、大学でステロイド剤の影響について研究した後、使用を中止したとのことです。サンフランシスコ・クロニクルのインタビューで、ステロイド剤の使用は「失敗した実験」だったと語っています。
ブレーブス在籍時の1974年4月8日、チームメイトのハンク・アーロンがベーブ・ルースの記録を破る通算715号本塁打を放った際、そのボールをグラブでキャッチしました。その後、アーロンにボールを手渡して祝福しました。
近年では、NFLのクォーターバック（QB）の指導にも力を入れています。アレックス・スミスをはじめ、トム・ブレイディ、ドリュー・ブリーズ、ティム・ティーボウなど、数々の有名QBのスローイングのコーチングを手がけています。

通算投手成績

289試合登板
29勝23敗33セーブ
防御率3.79

著書

* NOLAN RYAN'S PITCHER'S BIBLE (1991) ※ノーラン・ライアンとの共著

トム・ハウスは、現役時代のリリーフ投手としての活躍はもちろん、コーチとして数々の名投手を育て上げた功績、そして野球界に与えた多大な影響によって、その名を歴史に刻んでいます。

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