トム・ブリスリン

トム・ブリスリン（Tom Brislin、1973年10月6日 - ）は、アメリカを代表するキーボード奏者であり、作曲家、シンガー、音楽プロデューサー、そして作家としてもその才能を発揮しています。音楽一家に生まれた彼は、幼少期から音楽に触れ、その才能を開花させていきました。

生い立ちと初期の音楽的影響

ニュージャージー州で育ったブリスリンは、幼い頃から自宅でピアノを弾き始め、テレビ番組のテーマ曲を耳で覚えて演奏していました。その後、正式なレッスンを受けるようになり、音楽の基礎を築きました。演奏技術を習得する以前から、アルバムのカバーを描いたり、曲のタイトルを考えたりするなど、音楽に対する深い愛情を示していました。

1970年代のプログレッシブ・ロック・アルバムを演奏する姉の影響で、キース・エマーソンやリック・ウェイクマンといったキーボード奏者を知り、大きな影響を受けました。1980年代には、デュラン・デュラン、ザ・ポリス、そしてジャズ・ミュージシャンのハービー・ハンコックなど、多様なジャンルの音楽からインスピレーションを得て、自身の音楽性を豊かにしていきました。

学業とバンド活動

1991年にニュージャージー州サマーヴィルにあるイマクラタ高校を卒業。高校は彼を2016年に殿堂入りさせています。ティーンエイジャーの頃から様々なバンドで活動し、ウィリアム・パターソン大学ではユー・ワー・スパイラリング (You Were Spiraling)を結成しました。

プロとしてのキャリア

ブリスリンの最初のコンサート・ツアーは、1998年から2001年にかけてミートローフのピアニストとして参加したものでした。1990年代には、ユー・ワー・スパイラリングのメンバーとしても活動を続け、当初は「地元のミュージシャンの入れ替わりメンバー」で構成されていましたが、最終的にはフルタイム・バンドとなりました。2002年にはグループを改編し、スパイラリング (Spiraling)に改名。デビュー・アルバム『Transmitter』を発表しました。ブリスリンはこのグループで唯一のソングライターであり、バンドはゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツ、ヴァイオレント・ファムズ、そしてOK Goのサポート・ツアーを行いました。

2001年の「イエス・シンフォニック・ツアー」では、プログレッシブ・ロック・バンドであるイエスのツアー・キーボード奏者として雇われ、その評価を高めました。また、ミートローフ、デボラ・ハリー、ルネッサンスとの仕事でも知られています。作家としても活動しており、『30-Day Keyboard Workout』の著者であり、2001年から2014年まで『キーボード・マガジン』誌のライターを務めていました。

ソロ活動と新たな挑戦

2012年には、デビュー・ソロ・アルバム『ハリー・アップ・アンド スメル・ザ・ローゼズ』をリリース。「シネマティック・ポップ」と称するこのアルバムは、作曲、プロデュース、演奏、録音のすべてをブリスリン自身が手掛けました。2013年には日本でもリリースされ、ヴァイナル盤も発売されました。

2014年春には、インドのチェンナイ郊外にある現代音楽大学「Swarnabhoomi Academy of Music」でピアノの教授に選ばれました。2017年には、国際的なスーパーグループ、ザ・シー・ウィズインを共同で結成。2018年12月には、カンサスのメンバーとして加入し、2019年2月から活動を開始しました。

トム・ブリスリンは、その多才な才能と音楽への情熱で、これからも様々な分野で活躍していくことでしょう。

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