トム・ヤム・クン!

『トム・ヤム・クン!』

『トム・ヤム・クン!』は、2005年に公開されたタイのアクション映画で、原題は「ต้มยำกุ้ง」(Tom-Yum-Goong)です。国際的には「The Protector」や「Warrior King」として知られ、さまざまな国で異なるタイトルが付けられています。この作品は、プラッチャヤー・ピンゲーオとトニー・ジャーの二人によるムエタイアクション映画の続編となります。目を奪うアクションシーンが終始展開され、観る者を圧倒します。

物語の概要

映画は、象を大切に思う青年カームが主人公です。カームは、彼の愛する象がベトナム人のジョニーに奪われ、シドニーでの追跡を決意します。物語の舞台となるシドニーには、タイ料理店「トム・ヤム・クン」がありますが、その背後には中国人のマダム・ローズ率いる密輸組織が潜んでいました。カームは愛する象を取り戻すため、多くの困難に立ち向かうことになります。

映画の特長と評価

本作は、前作『マッハ!』に続き、ワイヤーやCGを一切使用せずに撮影されたことが特筆されます。スタントも使用せず、早回しの技巧も用いられない中、トニー・ジャーは超人的な肉体能力を駆使して、見事なアクションを演じます。特に印象的なのは、劇中に登場する四分間のワンカットシーンです。このシーンでは、すべての出演者が計画通りに動く必要があり、彼らはまるで神業のようなアクションを披露することが求められました。

映画界では『マトリックス』の影響もあり、ワイヤーやCGを用いたアクションが主流となっていましたが、この作品はジャッキー・チェン以来の衝撃をもたらしました。日本はもちろん、海外からの評価も非常に高く、アクションのスタイルや演出が新たな地平を切り開くものであると称賛されました。具体的なアクションシーンとしては、カポエイラや剣術、さらには古式ムエタイの技術を駆使しながら、カームが一人で70人（日本公開版では49人）もの敵を相手に戦う様子が描かれ、高く評価されています。

キャスト

映画の実力派俳優たちが揃い、以下のキャストが活躍します。

• - カーム - トニー・ジャー（吹替：浪川大輔）
• - マーク巡査 - ペットターイ・ウォンカムラオ（吹替：後藤哲夫）
• - プラ - ボンコット・コンマライ（吹替：村井かずさ）
• - マダム・ローズ - 金星（吹替：塩田朋子）
• - ジョニー - ジョニー・グエン（吹替：川田紳司）
• - TK - ネイサン・ジョーンズ（吹替：平勝伊）
• - ビンセント - ダミアン・デ・モンテマス（吹替：志村知幸）
• - カポエイラの使い手 - Lateef Crowder
• - 剣術の使い手 - Jonathan Patrick Foo（現：Jon Foo）

映画製作の裏話

本作には多くのトリビアがあります。特筆すべきは、トニー・ジャー自身が幼少期から象と触れ合っていたため、象の訓練が不要であった点です。また、終盤では攻撃される小象の場面がいくつかありますが、スタッフの象への愛情から本物の象は使われず、剥製が代用されています。アメリカ版とタイ版で内容が異なる点も注目され、物語の結末が文化に応じて変化していることは興味深いです。

このように『トム・ヤム・クン!』は、迫力満点のアクションとストーリーが融合した、印象深い作品です。

もう一度検索