トヨタ・オリジン

トヨタ・オリジン：原点回帰と先進技術の融合

トヨタ・オリジンは、2000年11月にトヨタ自動車の生産累計1億台達成を記念して、1,000台限定で発売された特別な車です。実際には1,027台とも1,071台とも言われ、正確な販売台数は定かではありません。この車は、当時のクラウンに近い位置づけであったプログレをベースに、初代トヨペット・クラウン（RS型）をモチーフとした外観と観音開きドアを採用した、個性的なパイクカーとして誕生しました。プログレとプラットフォームを共有するブレビスやアルテッツァ、レクサス・ISとも姉妹車の関係にあります。

スタイルと機構

オリジンの最大の特徴は、初代トヨペット・クラウン（RS型）を彷彿とさせるクラシカルなデザインです。基本性能はベースとなったプログレと共通ですが、センチュリーの生産ラインから選ばれた熟練スタッフが製造を担当し、プログレとは異なり外装全体に曲面を多用するなど、センチュリーと同様の手間をかけて丁寧に作り込まれています。ボディカラーは、ライトグレイッシュブルーマイカメタリックモリブデン、ブラック、ブルーマイカの3色が用意されました。グレードは1種類のみの設定です。

エンジンは、直列6気筒3.0リッターの2JZ-GE型を搭載し、電子制御フレックスロックアップ付4速ATが組み合わされています。ボディサイズはプログレよりも全長が60mm、全幅が45mm、全高が20mm大きく、一回りゆったりとしたサイズになっています。観音開きのドアやボリューム感のあるボンネット、特徴的なグリルなど、モチーフとなったクラウンRSのデザイン要素が随所に再現されています。しかし、その外観とは裏腹に、レーダークルーズコントロールやVSC（横滑り防止装置）など、当時の最新技術に基づいた先進的な装備も多数搭載されています。また、室内はプログレからさらに静粛性が向上しています。

オリジンの外装は、そのほとんどが手作業で制作されており、新造部品が多数使用されています。一方、内装は基本的にプログレを踏襲しており、新造部品は多くありません。ただし、素材と工作精度には徹底的にこだわり、本革シートは縫い目のピッチを変更し、本木目などの素材も専用の高級材質を厳選して使用しています。メーターは専用の配色に変更され、プログレと同様にオプティトロンメーター（自発光式）を採用しています。

手作業による工程が多く、プログレの姉妹車というよりも、小型のセンチュリーに近い位置づけとも言えます。しかし、動力性能や基本装備などはプログレ・ウォールナットパッケージと同一です。

販売と終焉

オリジンの東京地区における車両本体価格は700万円と、同時期のUCF20型セルシオのC仕様Fパッケージ（670万円）よりも高価でした。新車登録台数の累計は1,063台で、2001年3月に生産を終了。翌年12月に在庫対応分がすべて完売し、販売終了となりました。

車名の由来

車名の「オリジン（Origin）」は、英語で「起源」を意味します。

販売店

トヨタ系列販売店全店で販売されました。1982年にトヨタが現在の販売体制になって以降、全チャンネルで販売された初の車種となりました。オリジン以降、全てのチャンネルで販売された車種はしばらくありませんでしたが、2009年に発売されたW30型プリウスが、約9年ぶりかつ限定販売車種以外では初となる全チャンネル販売車種となりました。

関連項目

トヨタ自動車
トヨタ・クラウン
トヨタ・プログレ
トヨタ・クラシック

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