トヨタ・プログレ

トヨタ・プログレ：先進性と高品質を追求したコンパクト高級セダン

トヨタ・プログレは、1998年 5月から2007年 5月まで販売された、高級セダンです。メルセデス・ベンツCクラスやBMW3シリーズを意識した「小さな高級車」というコンセプトを掲げ、コンパクトなボディサイズに上質な内装と先進技術を詰め込んだ意欲作でした。

コンパクトながらも余裕のある居住空間

プログレの大きな特徴は、そのコンパクトなボディサイズです。全幅は1,700mm（5ナンバー枠相当）、全長も4,500mm（後期型は4,510mm）と、当時の高級車としては異例の小ささでした。しかし、ホイールベースは2,780mmと、当時のクラウンと同等の長さを確保し、室内空間は十分に広いものでした。エンジンは2.5Lと3.0Lの直列6気筒自然吸気ガソリンエンジンを搭載し、FR（後輪駆動）または4WDの駆動方式が選べました。

クラウンを超える品質と先進装備

プログレの開発目標は「クラウン以上のセルシオ品質」でした。全車5層コート塗装、吸音材の多用による静粛性の向上、本革シートや高性能オーディオなどの豪華装備に加え、レーダークルーズコントロール、カーテンエアバッグ、NAVI・AI-SHIFTなど、当時の最新技術が積極的に採用されました。特に、本木目パネルを多用した「ウォールナットパッケージ」は、当時のトヨタ車ではセンチュリーやセルシオなど、ごく一部の高級車にしか採用されておらず、プログレの高級感を際立たせていました。

独自のエンブレムとグレード名

プログレには、トヨタのCIエンブレムではなく、車名の頭文字「P」をあしらった独自のエンブレムが採用されました。これは、既存のトヨタのセダン系車種のヒエラルキーに属さないことを示すものでした。グレード名に冠された「NC」は、「NEO CATEGORY」の頭字語です。

ブレビスとの姉妹車展開と販売終了

2001年6月には、プログレの姉妹車として、スタイリングを若々しくしたブレビスが登場しました。しかし、プログレ・ブレビスともに販売台数は伸びず、2007年 5月に車種整理の対象となり、販売を終了しました。販売不振の要因としては、保守的過ぎるデザイン、同クラスのFRセダンとの差別化の難しさ、サイズの割に高額であったことなどが挙げられます。

後継車と「プレミアムコンパクト」の役割

プログレの事実上の後継車は、ミドルクラスのハイブリッドカーであるSAIです。また、プログレが目指した「Cクラスや3シリーズに対抗するプレミアムコンパクト」という役割は、レクサス・ISが担うことになりました。

チューニングベースとしての意外な一面

プログレは、その性格上、チューニングベースとして用いられることはほとんどありませんでした。しかし、JZエンジン搭載のFR車でありながら、不人気のため中古車価格が安く、粗雑に扱われた個体が少ないという理由から、ドリフト走行用のベース車として使用される例も見られます。

初代 XG10型（1998年-2007年）の変遷

1997年10月：第32回東京モーターショーにてNC250として参考出品。
1998年 5月：発表。1JZ-GE（NC250）、2JZ-GE（NC300）エンジン搭載。
1999年 5月：スポーティグレードのiRバージョンを追加。
1999年12月：NC250に4WDを追加。
2000年4月：一部改良。サペリマホガニー材のウッドパネルをオプションで選択可能に。
2001年4月：マイナーチェンジ。フロントグリル等の意匠変更、直噴エンジン（D-4）へ換装、5速AT採用。
2002年11月：NC250に特別仕様車「プライムセレクション」を追加。
2004年4月：一部改良。ディスチャージヘッドランプを全車標準装備化。iRバージョン、ノーブルインテリアパッケージを廃止。
2005年12月：一部改良。定速クルーズコントロールを全車標準装備化。
2007年 5月：生産・販売終了。累計販売台数は7万8019台。

販売店と車名の由来

プログレは、トヨペット店（大阪地区は2006年 8月7日まで大阪トヨタ）で販売されました。車名の由来は、フランス語の「進歩」「進取」です。

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