トヨタ・タコマ

トヨタ・タコマ：北米を席巻するピックアップトラック

トヨタ・タコマは、トヨタ自動車が北米市場向けに製造・販売しているピックアップトラックです。そのルーツは、かつて北米で販売されていたハイラックスに遡ります。

1995年にタコマとして独立して以来、年間販売台数が10万台を下回ったことがないという、北米におけるトヨタの稼ぎ頭の一つとなっています。北米市場のニーズに応えるため、多種多様なモデルが展開されているのが特徴です。

モデルの多様性

タコマには、装備を抑えた実用的な仕様から、スーパーチャージャーを搭載したスポーツモデルまで、幅広いバリエーションが存在します。ボディタイプも豊富で、2ドア2人乗りのレギュラーキャブ、観音開き4ドアのアクセスキャブ、4ドアのダブルキャブ、そしてスポーティなSランナーやXランナーなどがラインナップされています。

西海岸では、FRP製のトノカバーを装着してサーフボードを積載するタコマの姿もよく見られます。

デザインと製造

タコマのリアエンブレムには、トヨタのCIマークではなく、「TOYOTA」のアルファベットが用いられています。これは、同じく北米向けのピックアップトラックであるタンドラと同様の仕様です。

かつてトヨタ・トラック（ハイラックス）時代には、日野自動車羽村工場で製造されていましたが、タコマからはNUMMI（New United Motor Manufacturing, Inc.）が製造に加わり、その後NUMMIでの生産に完全移行しました。NUMMI閉鎖後は、テキサス州サンアントニオ、メキシコ・バハカリフォルニア州ティファナ、グアナフアト州アパセオ・エル・グランデの工場で生産されています。

日本での展開

日本では正規販売されていませんが、少数のタコマが並行輸入されています。海外専売車の中では、シエナ、タンドラ、4ランナー、FJクルーザーなどと並んで人気車種となっています。

初代（N140/150/160/170/190型、1995年 - 2004年）

1995年2月、トヨタ・ピックアップの後継車として登場しました。ハイラックスと比較して、タコマは頑丈さや積載量よりも、乗り心地、ハンドリング、快適性、安全性を重視した設計となっています。これは、ピックアップトラックが商用目的だけでなく、個人用車両として使用される米国およびカナダ市場のニーズに合わせたものです。

開発は1989年に始まり、1994年に完了しました。デザインはカリフォルニア州のCALTYデザインリサーチで行われ、1991年にケビン・ハンターによるエクステリアデザインが採用されました。

パワートレインは、2.4リッター直4、2.7リッター直4、3.4リッターV6の3種類が用意されていました。

2代目（N220/240/250/260/270型、2004年 - 2016年）

2004年に2005年モデルとして登場。大型で威圧的なフロントグリルとヘッドライトが特徴的で、このデザインはタンドラにも受け継がれました。エンジンは2.7L直4と4.0LV6が設定され、スポーティなXランナーもラインナップされました。

3代目（N300型、2016年 - 2023年）

2015年のデトロイトモーターショーで発表。4ランナーやタンドラのデザインを取り入れたアグレッシブな外観が特徴で、売り上げを大きく伸ばしました。ボディはアクセスキャブとダブルキャブの2種類。エンジンは2.7L直4に加え、新開発の3.5LV6がラインナップされました。

4代目（N400型、2023年 - ）

2023年に発表された最新モデルです。

モータースポーツでの活躍

タコマは、モータースポーツの分野でも活躍を見せています。CORR（ Championship Off-Road Racing）のプロライトクラスでは、タコマの名を冠した車両が参戦し、好成績を収めています。また、パイクスピーク・ヒルクライムでは、Rod Millenがドライブするタコマが総合優勝を果たしています。

タコマは、北米市場におけるトヨタの成功を支える重要なモデルであり、その多様性と高い性能で、多くのファンを魅了し続けています。

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