トヨタ・トヨエース

トヨエース (Toyoace)

トヨエースは、トヨタ自動車が1954年に初登場した小型トラックで、2020年までの65年間にわたり多くのモデルが展開されました。その名の由来は「TOYOTA」と「Ace（第一人者）」の合成語で、20万通の応募の中から名付けられたとのことです。トヨエースは、トヨタの小型トラック市場において、長年主力として存在し続けました。

1. トヨエースの歴史

トヨエースの起源は、戦後の日本におけるモータリゼーションの進展にありました。1947年、トヨタは自社初の小型トラック「トヨペット・SB型」を発売し、小型トラック市場に参入します。しかし、当時の市場を支配していたのはオート三輪トラックでした。

オート三輪はコストが安く、操作も楽でしたが、快適性や高速安定性には欠けていました。この背景の中で、トヨタはより快適で経済的な四輪トラックを開発し、小型四輪トラックの市場を狙うことにしました。その結果、新たに誕生したのがトヨエースで、1954年9月に発表されたSKB型がその幕開けです。

2. 初代トヨエース

初代トヨエースは1トン積みで、セミキャブオーバー型のレイアウトを採用しました。これにより、荷台の長さを大きく確保し、実用性が向上しました。基本設計は、既存の技術を活かしつつコストを抑える工夫が凝らされています。また、エンジンは当初から30PSに向上しており、様々な仕様が用意されていましたが、初期の販売は芳しくなく、価格競争力に課題を抱えていました。

1956年には、販売促進のために大幅な値下げが実施され、さらに荷台とキャブのバリエーションが増え、販売台数が急増します。これにより、トヨエースは『トラックの国民車』と称されるほどの人気を博しました。

3. トヨエースの世代交代

トヨエースはその後も複数のモデルを通して改良が続けられました。1959年には2代目モデルが登場し、エンジン位置の改良やデザインの単純化などが行われ、シートの配置も改善されました。また、1971年に発売された3代目モデルでは、デザインのアップデートによって更なる市場競争力を得ました。

1985年に現れた5代目モデルからは、ダイナとの共同開発が始まり、積載量の種類が新たに追加されました。以後、ディーゼル車やハイブリッドモデルもラインナップされ、環境への配慮も強化されています。

4. 終焉とその影響

トヨエースは2020年に販売を終了しましたが、その影響は今なお残っており、小型トラック市場における重要なモデルとしての地位を確立しました。トヨタにおけるキャブオーバートラック及びその派生車種の多くが、トヨエースの名称や設計思想を受け継いでいます。例えば、ハイエースなどのモデルにもその影響が見られます。

トヨエースは、戦後の日本の物流業界の方向性に大きな影響を与えたトラックとして位置づけられ、トヨタの歴史の中で重要な役割を果たしました。このようにトヨエースは、日本のモータリゼーションの進展を象徴する存在であり、これからの小型トラックの発展にも影響を与え続けることでしょう。

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