トヨタ・1GZ-FE

トヨタ1GZ-FEエンジンは、1997年（平成9年）から2017年（平成29年）までトヨタ自動車が製造していた、V型12気筒DOHCガソリンエンジンです。日本国内の乗用車用エンジンとしては、唯一のV型12気筒レイアウトを持つエンジンとして知られています。

概要

1GZ-FEエンジンの排気量は5,000ccです。発売当時は馬力に関するメーカーの自主規制が存在したため、最高出力は280馬力に抑えられています。しかし、その基本構造はトヨタ自動車が長年培ってきた直列6気筒エンジンの技術をベースにしており、信頼性と耐久性に優れています。

特徴的な点として、片バンクの6気筒にトラブルが発生した場合でも、残りの6気筒が機能することで走行を継続できる設計となっています。これは、センチュリーのような高級車に求められる信頼性を確保するための工夫と言えるでしょう。また、ブレーキをはじめとする走行機器の多くにバックアップのための二重系統化が施されており、安全性も考慮されています。

エンジンの組み立ては、熟練した技術を持つ工員が1人で1基のエンジンを最初から最後まで手作業で組み立てていました。組み立てられたエンジンは全数抜き取り検査を受け、厳しい基準に合格したものだけが出荷されるという徹底した品質管理体制が敷かれていました。この製造プロセスからも、トヨタ自動車の品質に対するこだわりが伺えます。

1GZ-FEエンジンは、主にトヨタ・センチュリーに搭載されていました。しかし、2018年の2代目から3代目へのフルモデルチェンジに伴い、V8の2UR-FSEエンジンを使用したハイブリッド仕様へと変更されました。その後、派生車である御料車専用のGZG51型センチュリーロイヤルにのみ採用されていましたが、2019年からは御料車のベース車も3代目に変更となり、同年をもって1GZ-FEエンジンを搭載する車種は全て姿を消しました。

また、全日本GT選手権に参戦していたスープラのエンジン換装を検討した際、1GZ-FEエンジンの搭載も候補に挙がりました。机上でのシミュレーションの結果、セルシオやソアラに搭載されていた3UZ-FEエンジンをベースにした方が有利であると判断され、1GZ-FEエンジンの採用は見送られました。

圧縮天然ガス(CNG)を燃料とする仕様の1GZ-FNE型も存在します。このエンジンは、最高出力と最大トルクがガソリン仕様よりも若干低下しています。2003年（平成15年）に登場しましたが、2005年（平成17年）にはカタログから姿を消しています。

バリエーション

1GZ-FE
タイプ: V型12気筒 DOHC 48バルブ VVT-i
排気量: 4.996 L
内径×行程(mm): 81.0 × 80.8
圧縮比: 10.5
出力:
206 kW(280 ps)/5,200 rpm 481 Nm(49.0 kgm)/4,000 rpm （1997年 - 2005年）
206 kW(280 ps)/5,200 rpm 460 Nm(46.9 kgm)/4,000 rpm （2005年 - ）
1GZ-FNE (CNG仕様)
タイプ: V型12気筒 DOHC 48バルブ VVT-i
排気量: 4.996 L
内径×行程(mm): 81.0 × 80.8
圧縮比: 10.5
出力: 190 kW(258 ps)/5,200 rpm 405 Nm(41.3 kgm)/4,000 rpm

関連項目

トヨタ自動車
センチュリー
トヨタのエンジン型式命名規則
トヨタ・エンジン系列名
レシプロエンジン
トップシークレット - JZA80スープラに1GZ-FEを換装したチューニングカー｢V12スープラ｣を製作した。

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