トヨタ・GRヤリス

GRヤリス：トヨタが誇るホットハッチ

GRヤリスは、トヨタ自動車が「GR」ブランドで展開するスポーツカーです。世界ラリー選手権（WRC）への参戦を視野に入れ、トヨタが独自に開発しました。コンパクトカーであるヤリスの名を冠していますが、その設計思想とメカニズムは大きく異なり、本格的なスポーツ走行を可能にするための専用設計が施されています。

開発の背景

トヨタは1999年シーズンをもってWRCから撤退しましたが、2017年に復帰しました。しかし、当時のベース車両であった3代目ヤリス（日本名：ヴィッツ）は、競技車両としてのポテンシャルに限界がありました。そこで、WRCでの勝利を目指し、ホモロゲーションモデルとしてGRヤリスの開発がスタートしました。

生産と開発

GRヤリスの生産は、レクサス・LFAの生産設備をベースとした「GRファクトリー」で行われています。セル生産方式を採用し、少量生産に対応しています。開発においては、レーシングドライバーのフィードバックを重視し、モータースポーツの現場と同様の手法で、テストと改善を繰り返しました。

メカニズム

GRヤリスは、軽量化、低重心化、そして高剛性を実現するため、様々な工夫が凝らされています。プラットフォームは、GA-BとGA-Cを組み合わせたハイブリッド構造を採用。これにより、コンパクトでありながらも、優れた走行性能を実現しています。エンジンは、新開発の1.6L直列3気筒ターボエンジン「G16E-GTS」を搭載。最高出力272psを誇り、GRヤリスのパフォーマンスを支えています。

グレード構成

GRヤリスには、様々なグレードが用意されています。

RZ "High performance": 最上級グレード。BBS製鍛造アルミホイール、ミシュラン製高性能タイヤ、トルセンLSDなどを装備。
RZ: スタンダードな上級グレード。
RC: 競技ベース車両。快適装備を省略し、軽量化。
RC "Light Package": RCをさらに軽量化。
RS: 1.5L自然吸気エンジンを搭載したFFモデル（2024年のマイナーチェンジで廃止）。

2022年には、500台限定のフルチューンモデル「GRMNヤリス」も発表されました。GRヤリスをベースに、さらなるパフォーマンスアップが図られています。

モータースポーツでの活躍

GRヤリスは、WRCをはじめとする様々なモータースポーツの舞台で活躍しています。

WRC: GRヤリス ラリー1が参戦し、2022年、2023年とドライバーズ/コ・ドライバー/マニュファクチャラーズ部門のタイトル3冠を達成。
全日本ラリー選手権: JN1クラスにGRヤリスが参戦し、2021年にはチャンピオンを獲得。
スーパー耐久: ROOKIE RacingがST-2クラスに参戦し、2020年のチャンピオンを獲得。

2024年のマイナーチェンジ

2024年1月、GRヤリスはマイナーチェンジを受けました。外観のデザイン変更、8速AT「GR-DAT」の追加、エンジンの出力向上など、多岐にわたる改良が施されています。

まとめ

GRヤリスは、トヨタがWRCで培ったノウハウを注ぎ込んだ、本格的なスポーツカーです。その高い走行性能と、モータースポーツでの活躍は、多くのファンを魅了しています。

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