トライアンフ・GT6

トライアンフGT6：英国が生んだ、魅力と課題を併せ持つスポーツカー

トライアンフGT6は、[ブリティッシュ・レイランド]社のトライアンフ部門が1966年から1973年にかけて製造したスポーツカーです。その誕生には、ジョヴァンニ・ミケロッティがデザインしたスピットファイアをベースとしたプロトタイプが深く関わっています。当初は、スピットファイアのエンジンではボディの重量増に対応できず、計画は頓挫しましたが、レース用スピットファイアの成功を踏まえ、2.0L直列6気筒エンジンを搭載したモデルとしてGT6が誕生しました。

GT6マーク1 (1966-1969)：流麗なフォルムと、課題の残るハンドリング

1966年に登場したマーク1は、リアハッチを備えたファストバックスタイルで、そのスタイリッシュな姿から「プアマンズEタイプ」と称されました。2シーターが基本でしたが、2+2シーターもオプションとして提供されました。スピットファイアをベースとするものの、直列6気筒エンジンの搭載を考慮した大幅な設計変更が施され、ボディパネルは共通部分がありませんでした。

95bhpの直列6気筒エンジンと4速マニュアルトランスミッションを搭載し、最高時速171km/h、0-60mph加速11.7秒という性能を達成。同時代のMGB GTと比較しても遜色ない性能を誇りました。しかし、スピットファイアから流用されたリアサスペンションは、高出力エンジンに対応できず、ハンドリングの悪さと故障の多さが大きな弱点となりました。特にアメリカ市場ではこの点が酷評されました。

GT6マーク2 (1968-1970)：ハンドリング改善への挑戦

アメリカ市場での批判を受け、1968年にはマーク2(アメリカではGT6+として販売)が登場。リアサスペンションにロトフレックスを採用するなど、ハンドリング改善に注力しました。また、衝突安全基準への適合のため、フロントバンパーの位置も変更されました。エンジンの出力も104bhpに向上し、換気装置の改良などのインテリアの改善も図られました。これらの改良により、ハンドリングは大幅に改善されました。

GT6マーク3 (1970-1973)：最終モデルと生産終了

1970年に発売されたマーク3では、スピットファイアマーク4に合わせてボディ全体の修正が行われました。1973年にはリアサスペンションをスウィングスプリングレイアウトに改良し、ブレーキサーボの追加、シート素材の変更、オプションの拡充などが行われました。最高時速188km/h、0-60mph加速10.1秒と、ライバルであるMGB GTと比較しても遜色ない性能を維持していましたが、アメリカ仕様では低オクタン価ガソリンに対応できず、性能低下を招いたことが残念でした。

マーク2以降、GT6は高い評価を得ていましたが、販売台数は予想を下回り、MGBには総合的に及ばず、コンバーチブルモデルの要望もあったものの、生産されることはありませんでした。1973年に生産終了となりました。

GT6の現在

現在でも高い人気を誇り、クラシックカーイベントでその姿を見かける機会も多いです。多くのトライアンフ車と部品を共有しており、現存率も比較的高いと言えます。コンバーチブルバージョンは公式には存在しませんが、オーナーによる改造でコンバーチブル仕様にされている車両も存在します。トライアンフGT6は、独特のデザインと走りの魅力、そして克服しきれなかった課題が共存する、魅力的な一台と言えるでしょう。

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