オクタン価

オクタン価とは

オクタン価（Octane Rating）は、内燃機関におけるガソリンの耐ノック性を示す尺度として非常に重要です。これは、エンジン内で燃料が自己点火する難しさや、ノッキングの発生頻度の低さを数値的に表現したものです。オクタン価が高いほど、ノッキングが少なく、エンジンにとって望ましい燃料であることが示されます。

オクタン価の基準

オクタン価は、イソオクタン（2,2,4-トリメチルペンタン）の値を100とし、耐ノック性が低いn-ヘプタンを0として相対的に評価されます。試料ガソリンのオクタン価は、これら二つの成分の混合物中に含まれるイソオクタンの割合をもとに決定されます。一般的に、構造が複雑で分岐の多い炭化水素よりも、直鎖の炭化水素の方が耐ノック性が低くなります。ノッキングの原因となるヒドロキシルラジカル（•OH）を抑制するために炭化水素ラジカルを供給することで、耐ノック性を向上させることも可能です。

耐ノック性の測定

オクタン価は、混合気に着火した際の炎の伝播速度を測定することで評価されます。伝播速度が遅いほどオクタン価は高く、これはエンジン燃焼の効率とも関連しています。ピストン位置が上死点で混合気に着火した場合、爆発が終了するのは低回転よりも高回転での信号において効率的です。

オクタン価の上限と出力価

オクタン価の最高値は100であり、これはイソオクタンの耐ノック性が上限として設定されているからです。しかし、第二次世界大戦の際に航空機用のガソリンに使用されるために開発された出力価（Performance Number）という指標が誕生しました。出力価は、ノッキング防止の添加物を含んだ燃料の出力を、オクタン価100の燃料の出力と比較することで算出されます。この方式によって、ガソリンのパフォーマンスを定量的に示すことができます。

アンチノック剤について

かつては四アルキル鉛などの有機鉛化合物が広く使用されていましたが、環境への配慮からこれらは使用されなくなりました。代わって、現在はエーテル系の含酸素化合物が主流となっています。たとえば、メチルtert-ブチルエーテル（MTBE）やエチルtert-ブチルエーテル（ETBE）、tert-アミルメチルエーテル（TAME）などが利用されています。

測定方法

オクタン価を測定する際には、リサーチ・オクタン価（RON）とモーター・オクタン価（MON）が一般的に用いられています。RONは、低回転時の耐ノック性能を示すのに対し、MONはエンジンに負荷がかかる状態での性能を表します。また、アンチノック・インデックス（AKI）もあり、これはRONとMONの平均値を示す指標です。

地域によるオクタン価の違い

世界各国で給油機に表示されるオクタン価は地域によって異なります。たとえば、オーストラリアではレギュラーがRON91、ドイツではRON91とRON95が一般的です。また、日本ではレギュラーがRON89以上、ハイオクはRON96以上と定められています。このように、オクタン価は地域によりさまざまな規格が存在します。

日本におけるオクタン価の歴史

日本での自動車用ガソリンのオクタン価は、JISに基づいて設定されています。JISではレギュラーガソリンは2号ガソリン、高オクタンガソリンは1号ガソリンとして規定されています。日本のオクタン価は改正が行われるたびに変化し、国際的な基準にも適応してきました。

日本で販売されるガソリンのオクタン価には、地域差や輸入車の設計に応じた調整が必要です。特に欧州車の仕様は日本市場ではハイオク仕様として販売されていますが、アメリカや東南アジアからの輸入車についてはサポート窓口に確認することが推奨されています。

結論

オクタン価はガソリンの性能を示す重要な指標であり、その測定方法や地域ごとの違いを理解することで自動車のパフォーマンスを引き出すことができます。

もう一度検索