トラス (ISS)

国際宇宙ステーション（ISS）の背骨：トラス構造を徹底解説

[国際宇宙ステーション]のトラスは、宇宙空間における実験施設と居住空間を支える、まさに背骨とも言えるべき基幹構造です。この巨大な構造体には、太陽電池パドルやラジエータ、通信機器など、ISSの運用に不可欠な様々な装置が取り付けられています。

トラスの進化

ISSの構想段階であった「フリーダム計画」では、宇宙飛行士が船外活動で組み立てることを前提としたトラスが設計されていました。しかし、1991年にNASAは設計を見直し、地上で可能な限り組み立てられた、より短い部材を打ち上げる方式へと変更しました。これにより、宇宙空間での作業負担が軽減され、建設の効率化が図られました。

トラスの主要構成要素

トラスは、複数の構成要素から成り立っており、それぞれが特定の役割を担っています。

Z1トラス: 2000年に打ち上げられた最初のトラスで、P6トラスと太陽電池パドルの一時的な取り付け場所として使用されました。通信装置や静電気中和装置などを備えています。
S0トラス: ISSの中央に位置するトラスで、電力の整流や熱制御ループの通路として機能します。カナダアーム2や宇宙飛行士の移動用台車も搭載しています。
P1/S1トラス: S0トラスに取り付けられたトラスで、それぞれ左舷(port)、右舷(starboard)を意味します。ラジエータを装備し、ISSの排熱を担っています。
P3/P4トラス: 太陽電池パドルやラジエータ、電力制御装置などを搭載しています。太陽電池パドルを太陽に向ける回転機構も備えています。
S3/S4トラス: P3/P4トラスと対称の位置に設置されたトラスで、同様の機能を有しています。
P5/S5トラス: P6/S6トラスを接続するためのコネクタとして機能します。
* P6/S6トラス: 巨大な太陽電池パドルを搭載し、ISSに電力を供給する重要な役割を担っています。

トラスの電力供給システム

ISSの主要なエネルギー源は、米国製の太陽電池パドルです。各パドルは長さ約34.1m、幅約12mで、直流で約32.8kWの発電能力があります。太陽電池パドルは、常に太陽の方向を向くように制御されており、効率的な発電を実現しています。

太陽電池パドル回転機構(SARJ)

太陽電池パドルを太陽に向けるための回転機構で、通常は周回ごとに360度回転します。2基のSARJがP3/P4トラス間とS3/S4トラス間に設置されており、太陽電池パネルを最適な角度に維持します。

電力調整と貯蔵

太陽電池で発電された電力は、直列シャントユニット(SSU)で調整され、安定した電圧で供給されます。余剰電力は、バッテリ充放電ユニット(BCDU)とニッケル水素バッテリ・アセンブリに蓄えられ、太陽光が当たらない時間帯でも電力を供給できるようにしています。

トラスの組み立て

トラスは、スペースシャトルによってISSに運ばれ、船外活動によって組み立てられました。各トラスは、段階的に取り付けられ、最終的に現在の形となりました。

組み立て順序

1. Z1トラス
2. P6トラス
3. S0トラス
4. P1/S1トラス
5. P3/P4トラス
6. S3/S4トラス
7. P5トラス
8. S5トラス
9. S6トラス

まとめ

トラスは、ISSの運用に不可欠な基幹構造であり、電力供給、熱制御、通信など、様々な機能を支えています。その複雑な構造と高度な技術は、人類の宇宙開発における大きな成果と言えるでしょう。

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