トラムンタナ山脈

トラムンタナ山脈：自然と文化が織りなす世界遺産

スペイン・バレアレス諸島のマヨルカ島西岸に位置するトラムンタナ山脈は、その美しい景観と文化的価値からユネスコの世界遺産に登録されています。この山脈は、南西から北西にかけて連なり、その名は同名のコマルカ（郡）に由来しています。

地理

山脈の最高峰は、標高1,445mのプッジ・マジョーで、バレアレス諸島全体でもっとも高い山です。プッジ・マジョーの東には、標高1,364mのプッジ・マッサネーリャがそびえ立ちます。山脈の最南端部分は、ブルゲサ山地として知られています。

トラムンタナ山脈は、マヨルカ島の他の地域と比較して、降水量が非常に多いのが特徴です。他の地域が年降水量400mm以下であるのに対し、この山脈では年間1,507mmもの雨が降ります。標高が高いため、冷涼な気候であり、冬季には雪が降ることも珍しくありません。

山脈を横断するソーイェル鉄道は、州都パルマからブニョーラやソーイェル市街地を経て、ポルト・デ・ソーイェル（ソーイェル港）までを結びます。道路交通では、山脈と北西岸の間、あるいは山脈内部をMa-10号線が走っています。Ma-11号線やMa-1040号線、Ma-1110号線、Ma-2130号線も、山脈を横断する主要な道路です。

文化

トラムンタナ山脈は、重要な自然保護区であり、地質学的な価値が高いことで知られています。豊かな森林植生、多様な動植物種が生息し、都市化の影響をほとんど受けていません。地形、地質、気候条件から農業には不向きな場所でしたが、8世紀頃からキリスト教徒は、急斜面に石垣と棚田を築き、水車を利用して灌漑用水路を整備し、農地を開発しました。一時的にイスラム教徒の支配下に入った時期もありましたが、12世紀にはレコンキスタによりキリスト教徒の手に戻りました。

現在では、水稲の他に、オリーブ、ブドウ、オレンジなどの果樹が栽培されています。2011年6月27日、トラムンタナ山脈全域が「トラムンタナ山脈の文化的景観」として、ユネスコの世界遺産（文化遺産）に登録されました。

世界遺産

トラムンタナ山脈は、以下の世界遺産登録基準を満たし、登録されました。

(2)：建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
(4)：人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
(5)：ある文化（または複数の文化）を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。



この山脈の独特な景観は、自然と人間の営みが調和して創り出した、他に類を見ない文化的遺産と言えるでしょう。

ギャラリー

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脚注

外部リンク

[カタルーニャ語](https://whc.unesco.org/en/list/1372'>トラムンタナ山脈ユネスコ世界遺産status 2010, Cultural Landscape, スペイン語, 英語)
トラムンタナ山脈Tramuntana.info
トラムンタナ山脈の登山道Umsdt.com
トラムンタナ山脈の情報 マヨルカ島政府（カタルーニャ語）
マヨルカ島のトラムンタナ山脈 世界遺産
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