トランク (自動車)

トランクの概要

トランク（アメリカ英語で「trunk」、イギリス英語で「boot」と呼ばれる）は、自動車における主要な荷物入れや貨物室のことを指します。北米やジャマイカでは「trunk」が一般的に用いられますが、他の英語圏では「boot」という用語が使われます。また、日本では「トランクルーム」とも呼ばれることがあります。この用語は、もともと馬車の御者座席や荷物置き場を意味していました。

ほとんどの乗用車では、トランクはエンジンルームとキャビンの後方に位置していることが一般的です。しかし、ミッドシップやリアエンジン車では、トランクがキャビンの前方に配置されていることがあります。トランクの形状や大きさは車種によって異なり、実用性を考慮したデザインが多く見受けられます。

分類とデザイン

トランクは、密閉型と開放型に大別できます。密閉型トランクは、セダンやクーペに多く見られ、荷物がキャビンから隔離されています。一方、ステーションワゴンやミニバン、SUVなどでは、荷室が開放的なデザインです。これらの車両は一般に「ラゲッジスペース」と呼ばれ、トノカバーや収納ネットなどの工夫が施されています。

トランクの開口部には、トランクリッドと呼ばれるフタが取り付けられています。これは、荷物の出し入れを容易にし、外部とトランク内部を分ける役割を果たします。また、密閉型トランクには安全性確保のため、荷物を固定するアイデアも多く取り入れられています。

安全性の観点

トランクは、乗員の安全にも寄与しています。荷物をトランクに積むことで、衝突時や急ブレーキ時に荷物が室内に飛び出すリスクを軽減します。このため、トランク内には荷掛けアイが設けられ、荷物の固定が行えるようになっています。これは、運転中に荷物が不意に動くことで事故が起こるのを防ぐ重要な機能です。

また、トランクは受動的安全性にも貢献しています。事故発生時に荷物がトランク内で衝突しないよう、十分な固定が重要です。近年の車両では、荷掛けアイシステムが搭載されており、柔軟な荷物の固定が可能になっています。これにより、ドライバーは荷物を効果的に確保し、事故の際の二次被害を防ぎやすくなっています。

トランクリッドの役割

トランクリッドは、トランクと外部をつなぐ重要な部分であり、開閉がスムーズに行えるよう設計されています。ハイマウントストップランプが装備されることが多く、見た目や安全に寄与しています。さらに、スポーティなモデルではリアスポイラーが搭載されることもあり、空力性能向上に寄与しています。

トランクのオプションと危険性

トランク内には、スペアタイヤやジャッキ、緊急用品等が収納されていることが一般的です。また、トランクのロック機構は客室のロックと連動している場合が多いですが、子供がトランクに閉じ込められるケースには注意が必要です。アメリカでは、トランクのリリース機構に光る蓄光塗料を使用することが義務化されており、発見しやすさが考慮されています。

トランクは、自動車にとって不可欠な要素であり、安全性や機能性を兼ね備えたデザインが求められています。現代の自動車では、トランクは単なる荷物を入れる場所ではなく、乗員の安全と快適な移動に貢献する重要な役割を果たしています。

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