トランスアジア航空235便墜落事故とは？意味をやさしく解説

トランスアジア航空235便墜落事故：詳細な解説

2015年2月4日午前10時56分（台湾標準時）、台北松山空港から金門空港へ向かっていたトランスアジア航空235便（GE235便）が、痛ましい航空事故に見舞われました。この事故は、台北市南港区と新北市汐止区の境界を流れる基隆河に墜落するという、深刻な事態を引き起こしました。

事故の概要

事故機には乗客53名と乗員5名、計58名が搭乗していました。墜落の結果、43名もの尊い命が失われ、15名が重傷を負うという、非常に悲惨な結果となりました。さらに、事故機の左翼が高速道路を走行中のタクシーに接触し、タクシーに乗っていた運転手と乗客が軽傷を負いました。

事故当日のフライト

使用機材: ATR 72–600（機体記号：B-22816）
乗員乗客: 58人
コックピットクルー: 3人
機長：42歳男性（総飛行時間4914時間）
副操縦士：45歳男性（総飛行時間6922時間）
オブザーバー：63歳男性（総飛行時間1万6121時間、グラスコックピットは初めて）
客室乗務員: 2人
乗客: 53人

事故の経緯

235便は午前10時51分に離陸しましたが、離陸直後の10時52分38秒に第2エンジンに異常が発生。主警報装置が作動しました。しかし、10時52分42秒には第1エンジンのスロットルがアイドリング位置まで引かれ、10時53分24秒には第1エンジンが停止してしまいました。その後、失速警告音が何度か鳴り、機長は10時53分34秒に緊急事態を宣言しました。10時54分20秒に第1エンジンが再起動されたものの、再び主警告音が鳴り、フライトレコーダーとボイスレコーダーの記録が停止しました。

機体は基隆河に沿って蛇行し、都市部上空を通過後、左に傾いて基隆河に墜落しました。機長は都市部への墜落を避けるため、川沿いを飛行しながら不時着を試みた可能性があります。

事故原因の究明

中華民国の飛航安全調査委員会（ASC）による最終報告書では、以下の点が指摘されています。

第2エンジンのトルクセンサーの故障により、システムがエンジンをフレームアウト（燃焼停止）したと誤認し、オートフェザーユニットが作動した。
コックピットクルーは、第2エンジンの異常発生時に適切な緊急手順を怠り、誤って正常な第1エンジンを停止させた。

救助活動の困難

墜落現場周辺は人口密集地であり、基隆河以外への墜落は更なる大惨事を招いた可能性がありました。事故発生当初は、困難な状況下で大惨事を回避したとして、機長を英雄と讃える報道が多く見られました。

台北市政府消防局は、ダイバー隊を動員して救助活動を行いましたが、濁った川の水や鋭利な残骸に阻まれ、作業は難航しました。寒波の影響で水温が低下し、救助隊員の体力を奪いました。防寒装備の不足も深刻で、市民からのドライスーツの寄贈を受けるなど、困難な状況での捜索活動となりました。

事故の影響

2014年7月の着陸失敗事故から間もない時期に発生したこの事故により、トランスアジア航空の経営は悪化し、2016年11月22日に運航停止・会社解散となりました。この事故は、航空業界における安全対策の重要性を改めて認識させる出来事となりました。

映像化

メーデー!:航空機事故の真実と真相第15シーズン第7話「Caught on Tape」
世界衝撃映像100連発34　(2020年1月12日放送)

トランスアジア航空235便墜落事故