トランスルーセントグラスキャットフィッシュ

トランスルーセントグラスキャットフィッシュ（Kryptopterus bicirrhis）

トランスルーセントグラスキャットフィッシュは、ナマズ目シロギス科に属する淡水魚で、その名の通り体が透けて見えることが最大の特徴です。別名として「トランスルーセント」や「グラスキャット」とも呼ばれます。観賞魚として「グラスキャット」の名で広く親しまれており、その独特な姿から熱帯魚愛好家の間で人気があります。

形態

全長は最大で15cm程度に成長しますが、市場に出回るのは5cm程度の個体が一般的です。体は頭部を除いてほぼ全体が透明で、内部の骨格や内臓が透けて見える様子は非常に神秘的です。下あごの先端からは2本の長いひげが伸びており、これが特徴の一つとなっています。背びれは糸のように細く目立たず、尾びれは軽く二つに分かれています。

一般的なナマズのように水底に潜むことはなく、水槽内では中層を群れで泳ぎ回ります。体をくねらせるように泳ぐ姿は優雅で、観賞魚としての魅力を引き立てます。観察を続けると、胸のあたりに透明の脂肪のような泡状のものが確認できることがあります。また、水温の変化によっては背びれが赤く染まることもありますが、これは一時的なもので、魚の健康に大きな影響を与えるものではありません。水中の微細なものが鰭に付着することもあります。

体調が悪化すると透明だった体が白く濁ることがあり、これは水質の悪化などが原因と考えられます。このような変化が見られた場合は、水質管理の見直しが必要です。

類似種

同じように体全体が透けて見える魚として、タイやマレーシアに生息するグラスフィッシュや、エンゼルフィッシュに似たグラスエンゼルが挙げられます。また、体形が似ている魚には、やや大型になるオムポックや、牙が発達した肉食魚であるパービャウ（Belodontichthys dinema）がいます。

飼育について

トランスルーセントグラスキャットフィッシュは比較的おとなしい性格のため、他の小型熱帯魚との混泳にも向いています。飼育自体は比較的容易ですが、繁殖は難しく、水槽内での繁殖例は少ないです。

生態系への影響

台湾では、観賞用としてタイから移入されたものが「玻璃魚（ポーリーユー）」という名前で養殖されています。しかし、日月潭などの湖沼で繁殖し、雑食性のため、在来種の魚卵を捕食することで生態系に悪影響を及ぼし、在来魚の絶滅を招く可能性が指摘されています。このことから、安易な外来種の導入が環境に与える影響について注意する必要があります。

まとめ

トランスルーセントグラスキャットフィッシュはその美しい見た目とユニークな生態で、観賞魚として非常に魅力的です。飼育する際には、水質管理に注意し、他の魚との混泳を考慮する必要があります。また、生態系への影響を考えると、安易な放流は絶対に避けるべきです。

関連項目

熱帯魚
魚の一覧

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