日月潭

台湾最大の湖、日月潭

日月潭（にちげつたん・じつげつたん）は、台湾南投県魚池郷に位置する美しい湖です。ダム湖を除けば、台湾で最も大きな湖として知られています。湖の形が、北側が太陽、南側が月のように見えることからこの名が付けられました。また、略称として「明潭」とも呼ばれています。

歴史と地理

日月潭は、日本統治時代に水力発電所建設のために大きく姿を変えました。当時、台湾総督であった明石元二郎と高木友枝率いる台湾電力株式会社が、台湾最長の川である濁水渓から水を引く計画を立てました。この計画は一時中断されましたが、後に再開され、1934年にダム湖と発電所が完成しました。この結果、湖面の面積は4.55km²から7.73km²に拡大しました。現在、この発電所は「大観水力発電所」として、台湾の水力発電の半分以上を担っています。

また、日月潭周辺には、台湾原住民であるサオ族が暮らしており、彼らはこの湖を「ズィントゥン」と呼んでいます。湖に浮かぶラル島は、サオ族にとって祖霊が宿る聖地として大切にされています。1999年の台湾大地震でラル島の面積は縮小し、月下老人の像が倒れるなどの被害を受けましたが、現在復興工事が進められています。

さらに、日月潭一帯は、100年以上の歴史を持つ日月潭紅茶の産地としても有名です。

観光スポット

日月潭は国家風景区に指定されており、台湾を代表する観光地の一つです。特に夕日の美しさは格別で、「双潭秋月（日月潭で見る秋の月）」は台湾八景の一つに数えられています。

湖の周辺には8本の遊歩道が整備されており、玄奘寺、文武廟、慈恩塔などの名所を巡ることができます。また、約39kmの周回道路は、サイクリングやバイクツーリングにも最適です。湖上では遊覧船が運航しており、手漕ぎボートを借りて水上からの景色を楽しむこともできます。湖岸東側にある「日月潭青年活動中心」付近からは、日月潭ロープウェイがテーマパーク「九族文化村」を結んでいます。

日月潭は、台湾では珍しい魚が生息する釣り場としても知られています。テナガエビ、ウナギ、コイ、コクレンなどの食用魚のほか、カワヒラ、ツマリカワヒラ、カワイワシといった日本ではあまり馴染みのない魚も生息しています。しかし、近年では、外来種のトランスルーセントグラスキャットフィッシュやシクリッド類、ティラピアなどが繁殖し、在来魚の生態系に影響を与えています。

イベント

• - 万人遠泳大会：毎年、中秋の名月前後に開催される大規模な遠泳大会です。約3000メートルの距離を泳ぎ、世界中から参加者が集まります。
• - カヌーマラソン：毎年、湖上を舞台にカヌーマラソンが開催されます。
• - 日月潭九族さくら祭り：桜の咲く2月から3月にかけて開催されるイベントです。
• - 日月潭環湖マラソン：毎年10月の第二日曜日に開催される湖を一周するマラソン大会です。

アクセス

• - 集集線水里駅より埔里行きなどのバスで約20分。
• - 集集線車埕駅から日月潭方面へ向かう日月潭ロープウェイの延伸計画があります。
• - 台湾鉄路管理局の台中駅、または台湾高速鉄道の台中駅から日月潭行きのバスで2時間～2時間半ほど。
• - 台北からも日月潭行きのバスが出ています。

舞台となった作品

• - カミカゼ野郎 真昼の決斗（1966年）：主人公がモーターボートで逃走するシーンで日月潭が登場します。
• - 日月潭 異国で教師をはじめたら（2023年）：日月潭を舞台とした作品です。

関連情報

• - 日月潭国家風景区：日月潭とその周辺地域を管轄する国家風景区です。
• - 九族文化村：日月潭ロープウェイで接続するテーマパークです。
• - タクラハ：サオ族に伝わる日月潭の人魚の伝説です。
• - 向山ビジターセンター：日月潭の観光情報を発信する施設です。

日月潭は、美しい自然と豊かな文化が融合した、魅力あふれる場所です。台湾を訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

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