トランス・ワールド航空840便爆破事件

トランス・ワールド航空840便爆破事件

1986年4月2日に、トランス・ワールド航空840便がロサンゼルスからニューヨーク、ローマ、アテネを経由してカイロに向かう途中、ギリシャ上空で爆破事件に見舞われました。この事件は、航空機が運航中にテロリストによる攻撃を受けたものとして多くの人々に衝撃を与えました。

事件の経緯

トランス・ワールド航空840便は、ロサンゼルスからローマまでの区間をボーイング747で運航し、ローマからカイロへの区間ではボーイング727を使用していました。アテネに到着する約20分前、機体10Fの座席下に隠されていた爆弾がギリシャのアルゴス上空で爆発しました。この爆発によって、機体の右側に大きな穴が開き、幸運にも乗員乗客118名の大多数は無事でしたが、爆風によって4人のアメリカ人乗客、特に8ヶ月の幼児が機体外に投げ出されてしまいました。

客室が急激に減圧した影響で、他の7名が破片による怪我を負いました。機長は、爆発直後には機体の扉に異常が発生したと考え、緊急着陸を試みたと伝えられています。実際に爆破テロが発生していたという事実に気づいたのは、着陸後のことであったと後に述べています。

事件の調査

投げ出された乗客のうちの3人の遺体は、アルゴス近郊の牧草地で発見され、残りの1人は海で発見されました。事件後、アラブ革命細胞を名乗るグループが、数年前に発生したリビアとアメリカ合衆国の衝突の報復として今回の攻撃を行ったと声明を発表しました。

調査官たちは、使用された爆弾が約1ポンドのプラスチック爆薬であったことを確認しました。事件の真相を解明する過程で、爆弾を機体に設置したとして逮捕されたのはレバノン人の女性であり、彼女はアブ・ニダルグループから依頼を受けて、座席クッションの下に爆弾を仕掛けたとされています。

この事件は、その高度な計画性と無差別的な攻撃手法により、航空安全への懸念を呼び起こしました。また、事件後の調査や国際的な捜査は、テロ対策の必要性を再認識させるものでした。トランス・ワールド航空840便爆破事件は、航空史における悲劇的な出来事の一つとして記憶されています。

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