トリエステ2

トリエステ II (DSV-1)

トリエステ II (DSV-1)は、アメリカ海軍が運用するバチスカーフ型の深海探査艇です。この艇は、スイスの物理学者オーギュスト・ピカールの初代トリエステを踏襲して設計されていますが、当時の海軍のニーズに応じて多くの改良が施されています。

概要

最初の設計はトリエステから引き継がれていますが、サンディエゴにある海軍電子研究所で大幅に設計変更が行われました。そして、メア・アイランド海軍造船所で建造されることとなります。

最初は初代トリエステに使用されていたイタリア製の耐圧殻を流用しましたが、その後、ドイツのクルップによって新たに製造された耐圧殻に交換されました。フロートの部分についても完全に新造され、初代に比べて流線型で航海に適した設計になっています。ただし、動作の原理は引き続き同じです。

1964年の初頭には、トリエステ IIはアメリカ海軍の貨物輸送艦「プライベート・フランシス・X・マグロー」に搭載され、パナマ運河を経由してボストンに向かいました。また、1964年9月には、1963年に沈没した原子力潜水艦スレッシャーの捜索に参加し、残骸の一部を回収することに成功します。

1971年に深海潜水艇（DSV）として再分類され、1980年まで太平洋艦隊の一員として運用されました。トリエステ IIの運用を通じて、深海潜水艇の運用における貴重な経験が蓄積され、他の潜水艇の設計や製造に役立てられました。この中には、従来の方法では到達できなかった深度での潜水艦の救助活動も含まれています。

改造と運用

1965年から1966年にかけて、再度メア・アイランド海軍造船所で広範囲な改造が施され、新たな耐圧殻も導入されました。この改造により、水深20,000フィート（約6100メートル）までの潜航が可能となり、外観も刷新されましたが、新しい形状での運用についての記録は残っていません。

トリエステ IIの運用は、1969年の秋まで「備品」として扱われていましたが、同年9月1日には正式に就役し、船体番号「X-1」が付与されました。前述の深海潜水計画においては、4名の搭乗が可能であり、深海探査の先駆的な役割を果たしました。

現在の保存状況

トリエステ IIは、現在ワシントン州キーポートの海軍水中博物館で博物館船として保存されています。この艇は、深海探査技術の発展に寄与し、多くの探査艇に影響を与えた重要な存在です。トリエステ IIは、深海探査における歴史的一歩を示す存在として、今もなおその価値を認識されています。具体的には、有名なアルビン級深海潜水艇との比較でも、その深度の潜航能力が高く評価されています。

深海探査技術の進化は、トリエステ IIの業績なしには考えられません。記録に残る数々の成果は、未来の深海探査の礎を築くものであり、今日まで効果的な技術と探査手法の発展に寄与しています。

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