トリパルタイト型機雷掃討艇

トリパルタイト型機雷掃討艇

トリパルタイト型機雷掃討艇とは、オランダ、フランス、ベルギーの3カ国が共同で開発したシリーズの機雷掃討艇です。この艇は3国の協力の象徴として「三国協同型」とも呼ばれています。最終的に36隻が建造され、さらに中古艇の取得を経て、パキスタンやインドネシア、ラトビアといった国々でも運用されているのが特徴です。

来歴

この機雷掃討艇の開発は、1952年に北大西洋条約機構（NATO）の一部として編成された海峡地区連合軍（ACCHAN）に遡ります。特にドーバー海峡の防衛を任務とする部隊の中で、海上における機雷戦が重要視され、1973年には常設の対機雷戦部隊である海峡常設海軍部隊（STANAVFORCHAN）が編成されました。これに参加しているイギリス、フランス、ベルギー、オランダの各国は、1950年代に就役した掃海艇を運用していましたが、1980年代においてその艇の寿命が懸念されていました。この背景から、機雷掃討の技術が進化する中で、フランスは1972年から新型の機雷探知機や処分具を装備した掃討専用艇であるシルセ級機雷掃討艇の建造を行い、この成功を受けて、他の2カ国（ベルギー・オランダ）と共に共同研究を実施し、1974年には3カ国の海軍の合意が成立しました。

設計

トリパルタイト型の特徴的な設計の一つとして、建材に繊維強化プラスチック（FRP）が採用されています。これにより、掃海艇の非磁性化が図られ、木材と比べて高騰する木造建造に依存せずに済むようになりました。 GRPが用いられたのは、戦後においても木材の高騰や技術者不足が続いたためです。基盤となる構造は、従来の木造の手法をFRPに適用し、横肋骨方式を採用しています。また推進装置に関しては、SWD社製のV型12気筒ディーゼルエンジン及び補助電動システムを搭載し、巡航と掃討に適した性能を備えています。

装備

対機雷戦に必要なシステムとしては、Skubermor IIIを採用しており、機雷探知や情報処理能力を有しています。機雷探知機は、フランスのシルセ級機雷掃討艇で使用されたDUBM-21の改良版であり、高度な探知能力を誇っています。機雷処分具もユニークで、中深度対応のPAP-104 Mk.4を採用し、特に爆雷の搭載量が増加しています。また他国で搭載する掃海具には、各国のローカルの機器が取り入れられています。

配備

最初は三国それぞれ15隻ずつ建造される予定でしたが、最終的にはフランスが11隻、オランダが12隻、ベルギーが10隻を製造しました。この調整は各国の戦略や経済状況に依存しています。

登場作品

架空艦「クリムロ」が登場する小説『レスキューチーム 第40部隊』では、ベルギー空軍のヘリコプターとの連携が描かれています。撮影には実際のトリパルタイト型機雷掃討艇である「プリムラ」が使用されました。

まとめ

トリパルタイト型機雷掃討艇は、冷戦時代の安全保障環境を背景にした先進的な設計と多国間協力の産物であり、現在でも多国にわたって運用され、その役割を果たし続けています。

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