トルクメン・ソビエト社会主義共和国

トルクメン・ソビエト社会主義共和国：中央アジアの独立への道

概要

トルクメン・ソビエト社会主義共和国（以下、トルクメンSSR）は、ソビエト連邦を構成した15共和国のひとつであり、ソ連最南端に位置していました。1924年10月27日に成立し、1991年10月27日に独立、トルクメニスタンとなりました。本稿では、その歴史的経緯を詳述します。

成立

1917年のロシア革命後、中央アジア地域はソビエト政権の支配下に置かれました。当初、トルクメンSSRの領域の大部分は、トルキスタン自治ソビエト社会主義共和国に含まれていました。しかし、ソ連は民族的自決を政策として掲げており、民族に基づいた国家区分を進めました。その結果、1924年10月27日、トルクメン人の居住地域を中心としたトルクメンSSRがソ連の構成共和国として誕生しました。この成立は、民族的自決の理念に基づくものでしたが、同時にソ連による中央アジア地域の支配強化を意味していました。

ソ連時代

ソ連時代、トルクメンSSRはソ連の中央計画経済体制の下、綿花栽培を中心とした農業経済を営んでいました。工業化も進められましたが、その発展は他の共和国に比べて遅れていました。また、文化面では、ロシア文化の影響が強く、トルクメン語とともにロシア語が公用語として使用されていました。政治的には、ソ連共産党トルクメン共和国委員会が支配的な役割を果たし、国民の政治参加は制限されていました。

独立への動き

1980年代後半から、ゴルバチョフ政権によるペレストロイカ（改革）とグラスノスチ（情報公開）政策によって、ソ連国内では民族意識の高まりや独立運動が活発化しました。トルクメンSSRにおいても、民族主義的な感情が強まり、独立を求める声が上がりました。

1990年8月22日、トルクメニスタン最高会議は主権宣言を採択し、事実上の独立を宣言しました。その後、10月27日に行われた大統領選挙でサパルムラト・ニヤゾフが圧倒的な得票率で当選しました。

そして、1991年10月26日、国民投票でソ連からの独立が94.1％の賛成を得て承認されました。翌10月27日、トルクメンSSRはソ連から正式に独立し、トルクメニスタン共和国として新たな歴史を歩み始めました。ソ連崩壊の直前に、独立を達成した共和国の一つとなりました。

独立後のトルクメニスタン

独立後のトルクメニスタンは、ニヤゾフ大統領による強権的な一党支配体制が確立されました。独立後も、綿花栽培を中心とした経済構造は大きく変わりませんでした。その後、ニヤゾフ大統領の死後も、後継者であるベルディムハメドフ大統領による強権的な政治体制は続いています。

結論

トルクメンSSRは、ロシア革命後のソ連体制下で成立し、ソ連最南端の共和国として存在しました。民族的自決の理念に基づいて成立した一方、ソ連の中央集権的な支配下にあったという複雑な歴史を持っています。1990年代初頭のソ連崩壊の中で、国民投票を経て独立を達成したトルクメンSSRの歴史は、中央アジア地域の変遷を理解する上で重要な意味を持っています。独立後のトルクメニスタンは、独自の道を歩み続けていますが、その歴史的背景を理解することは、現代のトルクメニスタンの政治や社会状況を分析する上で不可欠です。

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