トルコマーンチャーイ条約

トルコマーンチャーイ条約は、1828年にロシア帝国とガージャール朝（ペルシア）の間で締結された、第二次ロシア・ペルシア戦争の終結を画する重要な条約です。この条約は、現在のイラン北西部にあるトルコマンチャーイ村で締結されました。

条約締結の背景

1826年から1828年にかけての第二次ロシア・ペルシア戦争は、ロシア帝国の圧倒的な軍事力によって、ガージャール朝が敗北する形で終結しました。ロシア軍はタブリーズを陥落させ、ガージャール朝は和平交渉に応じざるを得なくなりました。

条約の内容

トルコマーンチャーイ条約は、全16条からなり、領土、賠償金、領事裁判権など、多岐にわたる規定が含まれていました。主な内容は以下の通りです。

領土割譲: ガージャール朝は、北アゼルバイジャン（現在の アゼルバイジャン共和国の大部分）とアルメニア（現在の アルメニア共和国の全域とナゴルノ・カラバフ地方）をロシア帝国に割譲しました。
賠償金: ガージャール朝は、500万トマンの賠償金をロシア帝国に支払うことになりました。
領事裁判権: ロシア帝国は、ガージャール朝領内におけるロシア国民に対する領事裁判権を獲得しました。これにより、ロシア国民はガージャール朝の法律ではなく、ロシアの法律によって裁かれることになりました。
カスピ海における軍事力: ロシア帝国は、カスピ海における軍艦の独占的な通行権を獲得しました。これにより、ロシアはカスピ海における軍事的な優位性を確立しました。

条約の影響

トルコマーンチャーイ条約は、ガージャール朝にとって大きな痛手となり、その後の衰退を加速させる一因となりました。領土の喪失、賠償金の支払い、領事裁判権の容認は、ガージャール朝の主権を大きく損なうものでした。また、この条約を皮切りに、ガージャール朝は他の西欧列強とも不平等条約を締結していくことになります。

トルコマーンチャーイ条約は、ロシア帝国にとっては、南コーカサスにおける勢力拡大の重要な一歩となりました。ロシアは、この地域における影響力を強め、その後の展開に大きな影響を与えることになります。

関連項目

ゴレスターン条約：1813年にロシア帝国とガージャール朝の間で結ばれた条約で、トルコマーンチャーイ条約と同様に、ガージャール朝の領土の一部がロシアに割譲されました。
アレクサンドル・グリボエードフ：ロシアの外交官であり、劇作家。トルコマーンチャーイ条約の締結に尽力しましたが、テヘランで暴徒に襲われ殺害されました。

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