トルコ航空宇宙産業

トルコ航空宇宙産業（TAI）

トルコ航空宇宙産業（Turkish Aerospace Industries, Inc.、TUSAŞ、TAI）は、トルコ共和国における航空宇宙システムの技術センターです。軍用機をはじめとする航空宇宙システムの設計、開発、製造、統合、近代化、そしてアフターサービスまでを一手に担っています。

概要

TAIはアンカラに広大な生産工場を有し、高度な技術と設備を備えた近代的な航空機施設を有しています。部品製造から航空機の組み立て、飛行試験、納入まで、幅広い製造能力を提供しています。従業員は1500人を超え、そのうち約850人が研究開発技術者として、軍事研究プロジェクトに従事しています。

主な事業内容

TAIは、以下のような多岐にわたるプロジェクトを手掛けています。

航空機のライセンス生産: F-16戦闘機、CN-235軽輸送機、SF-260訓練機、クーガーAS 532ヘリコプターなど
航空機の設計・開発: 無人航空機（UAV）、標的ドローン、農業機など
航空機の近代化・改造: トルコおよび同盟国の軍用機・民間機に対する近代化、改造、システム統合プログラム
アフターセールスサポート: 固定翼・回転翼機のメンテナンス、修理、オーバーホール

近年では、基本練習機ヒュルクシュが耐空性型式認証を取得し、国際的な注目を集めています。

主なプログラム

TAIは、トルコ空軍（TuAF）をはじめとする国内外の顧客向けに、以下のようなプログラムを実施しています。

F-16の電子戦改修と構造変更
F-16のMLU、Falcon-Up、Falcon Star改修
F-16A/Bブロック15をF-16AM/BMブロック15 MLU水準に変更
S-2E海上追跡哨戒機の消防用への改造
CN-235とUH-60「ブラックホーク」ヘリコプターの改造
CN-235プラットフォームのMPA/MSA活動用への変更
ユーロコプターAS 532の改修と近代化
S-70ヘリコプターのグラスコックピット改修
B737-700のAEW&Cへの転換
C-130のアビオニクス近代化
F-35中央胴体の保守、修理、オーバーホール（MRO）および製造
A400M輸送機および空中給油機の設計・開発への参加
T-38のアビオニクス近代化
T-129攻撃ヘリコプターの設計、開発、製造
ヒュルクシュ練習機の設計、開発、製造
アンカ無人機の設計、開発、製造

国際協力

TAIは、アグスタウェストランド、エアバス、ボーイング、ロッキード・マーティンなど、世界の主要な航空宇宙企業とパートナーシップを結び、航空機構造の製造を行っています。エアバスA400Mの設計・開発活動にも初期段階から参加し、A350 XWBのウイングレット生産も受託しています。

製品

TAIは、以下の製品を開発・製造しています。

航空機: ヒュルクシュ練習機、ヒュルジェット練習機、TFX戦闘機（計画）
ヘリコプター: T129 ATAK攻撃ヘリコプター、T-70ヘリコプター、T-625ヘリコプター
無人航空機: アクスングル、アンカ、バイクゥス、ガジュウ、ケキィキュ、マルティ、ペリカン、シムシェーキ、コォルナ、UAV-X1
人工衛星: ギョクテュルク-1、ギョクテュルク-2、ギョクテュルク-3、トゥルクサット6A

TAIは、トルコ宇宙システム統合テストセンターも運営しており、宇宙開発にも貢献しています。

本社襲撃事件

2024年10月には、TAI本社が武装集団に襲撃される事件が発生し、大きな衝撃を与えました。

TAIは、トルコの航空宇宙産業を牽引する存在として、今後もその発展が期待されています。

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