トルハウスの戦い

トルハウスの戦い：仏蘭戦争におけるフランスの勝利

トルハウスの戦いは、1672年6月12日、仏蘭戦争中に現在のオランダ領ゲルデルラント州トルハウス近郊で発生しました。フランス王国軍がネーデルラント連邦共和国軍を破り、その後のフランス軍によるオランダ侵攻を決定づけた戦いです。

背景

仏蘭戦争開戦前、オランダはフランスの侵攻を予測していました。多くの人々は、要塞都市マーストリヒトが最初に包囲されると考えていましたが、ルイ14世は東からの侵攻を選択します。ケルン選帝侯領を通過し、ライン川沿いのオランダの要塞を攻撃する戦略を採用しました。

当時のオランダ軍を率いていたのは、オラニエ公ウィレム3世でした。フランス軍がライン川を渡った場合の影響について議論が重ねられる中、オランダ軍に所属していたフランス人将校ジャン・バートン・ド・モンバは、シェンケンシャンツへ移動。しかし数日後にはそこを離れ、結果としてライン川流域の守備が手薄になってしまいました。

戦闘の経過

フランス軍はロビトに到着し、6月10日から11日の夜にかけて、地元の農民の協力を得て浅瀬からライン川を渡河しました。ウィレム3世はフランス軍のロビト到着を知ると、パウルス・ウィルツ元帥を派遣し、フランス軍を阻止しようと試みます。

しかし、ウィルツが到着した6月12日には、フランス軍はすでに渡河を完了していました。ウィルツは騎兵3個大隊を浅瀬に配置し、数百メートル先のトルハウスにはフリジア歩兵連隊を配置して対抗します。フランス軍は騎兵2千で攻撃を仕掛け、オランダ軍の大砲の射程内に入りましたが、フランス軍の大砲がすぐにオランダ軍の大砲を無力化してしまいます。

その後、オランダ軍の騎兵は下馬し、歩兵は武器を置いて降伏の意思を示しましたが、フランス軍は攻撃を継続。これに対し、オランダ軍は再び武器を取り戦いましたが、最終的には敗北を喫しました。

戦いの影響

トルハウスにおけるフランス軍の渡河成功は、アイセル線の維持を不可能にし、オランダ東部全域がフランス軍の侵攻に晒されることになりました。仏蘭戦争におけるフランス軍の勝利は、ルイ14世の最大の功績の一つとされ、建設中であったヴェルサイユ宮殿には、ルイ14世がローマ人の乗馬姿でゲルマン人を踏みつける像が建設されました。

コンデ公ルイ2世がこの戦闘で負傷したため、テュレンヌ子爵が代わりに指揮を執り、フランス軍を二手に分け、それぞれナイメーヘンとアーネムへ侵攻させました。

参考文献

* Luc Panhuysen (2009): Rampjaar 1672, hoe de Republiek aan de ondergang ontsnapte. Atlas-Contact.

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