トレヴァンテ・ローズ

トレヴァンテ・ローズ：俳優、そして元陸上選手

トレヴァンテ・ローズ（Trevante Rhodes、1990年2月10日生まれ）は、アメリカ合衆国の俳優であり、かつては陸上競技選手としても活躍していました。彼は、第89回アカデミー賞で作品賞を含む3部門を受賞した映画『ムーンライト』で、成長したシャロンを演じたことで広く知られるようになりました。

生い立ちとスポーツキャリア

ローズはルイジアナ州タンギパホア郡ポンチャトゥーラで生まれ、10歳の時にテキサス州リトル・エルムに移住しました。リトル・エルム高校では、アメリカンフットボールに取り組み、ランニングバックとして活躍。高校時代には、アメリカンフットボールと陸上競技で計4回選手に選ばれました。陸上競技では、100メートル競走と200メートル競走を専門とする短距離走選手として才能を発揮しました。

2007年には、UIL陸上競技選手権大会に出場し、100mと200mの両方で2位に入賞。その後、アメフト中に前十字靭帯を損傷し、満足な結果を残せない時期もありましたが、陸上競技での実績が評価され、テキサス大学オースティン校へのスポーツ奨学金を獲得しました。

2008年から2012年まで、ローズはテキサス・ロングホーンズの一員として競技に打ち込みました。2009年には、トリニダード・トバゴのポート・オブ・スペインで開催されたパン・アメリカンジュニア陸上競技選手権大会で、400メートルリレー走に出場し、金メダルを獲得しました。

俳優としてのキャリア

初期の活動

大学卒業後、ローズはロサンゼルスに移り、俳優としてのキャリアをスタートさせました。初期の出演作品には、テレンス・マリック監督の映画『ソング・トゥ・ソング』（出演シーンはカット）、イライジャ・ウッドと共演したナチョ・ビガロンド監督の『ブラック・ハッカー』、エディー・オキーフ監督の映画『シャングリラ・スート』、マット・ジョーンズとデイヴ・ヒル監督の映画『ザ・ナイト・イズ・ヤング』などがあります。また、タイラー・ペリーとオプラ・ウィンフリーが手掛けたテレビシリーズ『イフ・ラヴィング・ユー・イズ・ウロング』ではラムジー役を演じました。さらに、フォックス放送の『ギャング・リレーテッド』やHBOの『ウエストワールド』にも出演しています。

『ムーンライト』とブレイクスルー

ローズは、バリー・ジェンキンス監督、プランB、A24制作の映画『ムーンライト』（2016年）で、主人公シャイロンの成人期を演じ、大きな注目を集めました。この映画は、マイアミで生きるシャイロンが、ゲイとしての自身のセクシャリティに葛藤しながら成長していく姿を描いた3部構成の作品で、公開された年には数々の賞を受賞し、高い評価を得ました。当初、ローズはシャイロンの友人であるケヴィン役の候補でしたが、後にシャイロン役に抜擢されました。

雑誌『アウト』のインタビューで、ローズは『ムーンライト』について、「今のアメリカで黒人であること、同性愛者であること、そして黒人の同性愛者であることは非常に困難なことです。だからこそ、『ムーンライト』を観た人々に感動してもらいたい。この映画は、きっとみんなを変えるでしょう。この問題に取り組む理由は、何か変化を起こせると感じたからです」と語っています。

その後、2017年には映画『ホース・ソルジャー』にも出演しました。

その後の活躍

2017年1月には、2018年公開の映画『ザ・プレデター』への出演が発表されました。また、同年2月には、『ムーンライト』で共演したマハーシャラ・アリ、アシュトン・サンダース、アレックス・ヒバートと共に、カルバン・クラインの2017年春期キャンペーン・モデルに起用されました。2018年公開のNetflixオリジナル映画『バード・ボックス』にも出演するなど、活躍の場を広げています。

トレヴァンテ・ローズは、スポーツ選手としての才能と努力、そして俳優としての演技力と情熱を持って、今後ますます活躍していくことが期待される人物です。

もう一度検索