トロル (トールキン)

トロル

トロルは、J.R.R.トールキンのファンタジー作品、特に『ホビットの冒険』、『指輪物語』、『シルマリルの物語』に登場する架空の種族です。これらの作品世界、中つ国において、トロルは重要な役割を果たしています。

概要

トールキンの神話体系において、トロルは初代冥王モルゴスの被造物として描かれています。シンダール語では「Torog」と表記されます。トロルの起源はモルゴスによって創造されたこと以外は明確ではありません。モルゴスもサウロンも「神秘の火」の力には到達できなかったため、無からの種族創造は不可能でした。そのため、トロルは強力な存在ではあるものの、エント族を模倣して作られたに過ぎないとされています。

初期の設定では、ゴブリンの魂や邪念が込められた大岩であるという説や、「岩の巨人」として分類されていたこともありました。しかし、『指輪物語』の追補編では「トロルの知性は獣と変わらず、オークとも似ていない」とされ、『ホビットの冒険』に登場する「石の巨人」とは別種と見なされています。これらのことから、初期の設定は破棄されたと考えられています。

特徴

トールキンの作品には、石のトロル、山トロル、洞窟トロル、雪トロルなど、様々な種類のトロルが登場します。これらのトロルに共通する特徴は、以下の通りです。

巨大な体躯: 人間をはるかに超える巨体を持っています。
硬い皮膚: 通常の武器では傷つけることが難しいほどの頑丈さを誇ります。
優れた戦闘能力: 肉弾戦において無類の強さを発揮します。
多様な外見: 肌の色は灰、黒、白、赤茶など様々で、歯や牙、頭髪、体毛も種類によって異なります。
* 知能と言語能力: 知能や言語能力には個体差があり、オーク語や崩れた西方語を話すものがいます。

『ホビットの冒険』では、太陽光を浴びると石化するとされています（石のトロル）。

歴史

「怒りの戦い」でオークや竜族などの闇の怪物たちが滅ぼされた後、トロルは再び数を増やし、第二紀、第三紀においては闇の勢力に調教・洗脳された兵器として戦力の中核を担いました。エテン高地には多数のトロルが生息しており、トロルの国が存在するとも言われています。エテン高地や他の山から降りてきたトロルたちは、エテン高地の南にある「トロルの森」と呼ばれる場所に潜んでいたとされています。

オログ＝ハイ

『指輪物語』には、サウロンによって生み出されたトロルの上位種「オログ＝ハイ」が登場します。オログ＝ハイは、通常のトロルよりも大型で力が強く、俊敏で、知能や戦闘技能も向上しています。また、太陽光を浴びても石化しないという特徴があります。彼らは暗黒語のみを話し、鎧兜や巨大な槌鉾・戦槌で武装しています。

オログ＝ハイは、サウロン配下の中でも最強の戦力として、前線突破や城壁破壊などに投入されました。しかし、「一つの指輪」が破壊されると、サウロンと共に滅びました。

映画『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還|ロード・オブ・ザ・リング_王の帰還』では、黒門での最終決戦で、アラゴルンと対決するオログ＝ハイの首領が登場します。ゲームなどでは、この首領は「モロク」という名で呼ばれています。

その他

トロルは、自由の民によって第一紀の暗黒軍や中つ国の伝説に登場する「巨人」と混同されることがあります。

また、「半トロル」や「二つ頭のトロル」といった種族も存在します。

『ホビットの冒険』には、トロルのポケットから物品が盗まれるのを防ぐための「トロル財布」が登場します。この喋る生物の起源や入手経路は不明です。

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