トロードス地方の壁画聖堂群

トロードス地方の壁画聖堂群：ビザンチン美術の宝庫

キプロス島の中央部に位置するトロードス山地には、ユネスコ世界遺産に登録された壁画聖堂群が点在しています。これらの聖堂は、ビザンチン様式の美しいフレスコ画で知られ、キプロスの重要な文化遺産となっています。

フレスコ画の魅力

聖堂の壁や天井を埋め尽くすフレスコ画は、コムネノス朝時代からビザンチン帝国滅亡後にかけて、長い期間にわたって描かれてきました。これらの壁画は、当時の人々の信仰や生活、芸術観を heute伝え、ビザンチン美術の発展を知る上で貴重な資料となっています。

登録対象となっている聖堂と修道院

登録対象となっているのは、以下の聖堂と修道院です。

屋根の聖ニコラオス聖堂: 11世紀に建てられた聖堂で、12世紀に付け加えられた屋根が特徴的です。内部には、「セバステの40人の殉教者」や「最後の審判」などのフレスコ画が残っています。
蝋燭の聖イオアン修道院: 3つの付属聖堂を持つ修道院で、それぞれの聖堂に異なる時代のフレスコ画が残っています。特に、聖イラクリディオス聖堂には、13世紀前半の東洋的な影響を受けたフレスコ画や、14世紀の後期ビザンティン様式のフレスコ画があります。
アシィヌの生神女聖堂: 12世紀以降に描かれたフレスコ画群が残っており、イエス、生神女マリア、聖人、預言者など、多彩なモチーフが描かれています。
豆の生神女聖堂（パナギア・トゥ・アラコス聖堂）: 1192年に描かれた聖母子像などのフレスコ画が残る木造聖堂です。
ムトゥラの生神女聖堂: キプロス最古の聖堂と考えられており、「十二大祭の一部」や「最後の審判」などの壁画が残っています。
大天使ミハイル聖堂: ビザンティン帝国滅亡後の1474年に描かれた壁画が残っています。
聖十字架聖堂: かつてキプロス王家のジャンが所有していた聖堂です。
足の生神女聖堂: 1502年に建造された旧修道院付属聖堂です。
聖水の十字架聖堂: ビザンティン帝国滅亡後の1494年に描かれたフレスコ画などが残っています。
救世主顕栄聖堂: 急勾配の木造屋根を持つ独特の形状で、16世紀後半のビザンティン帝国滅亡後の壁画群が評価されています。
聖ソゾメノス聖堂: 1513年の壁画が残っています。
聖ママス聖堂: 1495年に描かれた壁画が残っています。

登録基準と登録経緯

トロードス地方の壁画聖堂群は、以下の登録基準を満たし、世界遺産に登録されました。

(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
(3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
* (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。

1985年に8つの聖堂と1つの修道院が登録され、2001年には救世主顕栄聖堂が拡大登録されました。

観光情報

トロードス地方の壁画聖堂群は、キプロスの主要な観光スポットの一つです。聖堂を巡るツアーも開催されており、ビザンチン美術に触れることができます。ただし、聖堂内は写真撮影が禁止されている場合があるので、注意が必要です。

まとめ

トロードス地方の壁画聖堂群は、ビザンチン美術の宝庫であり、キプロスの歴史と文化を heute伝える貴重な遺産です。キプロスを訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

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