トンブリ (海防戦艦)

トンブリ (HTMS Thonburi)

トンブリ（タイ語: เรือหลวงธนบุรี、英語: HTMS Thonburi）は、タイ王国海軍に属する海防戦艦であり、同級の最初の艦艇です。その設計は1920年代に行われ、主要な防衛戦力として考えられました。特に、沿岸防衛に適した艦艇として位置づけられています。

設計の背景

トンブリ級海防戦艦は、タイ海軍の近代化の一環として設計されました。これは、ラタナコシンドラ級砲艦の導入を受けてのもので、軽装甲ながら2つの6インチ砲塔を備えた艦です。タイ海軍はプレーク・ピブーンソンクラームのリーダーシップの下での近代化を図り、海岸を防衛するための効率的な手段として、沿岸砲艦を選びました。欧州の各企業による設計案が提案されましたが、最終的には日本の川崎造船所が選ばれました。

この艦は基本的にラタナコシンドラ級の拡大版であり、1936年に神戸の川崎造船所で起工されました。1938年に進水し、艦の排水量は2,265トンで、強化された装甲のおかげで機関や砲塔が保護されています。当時タイで「戦艦」と呼ばれたこの艦は、MAN製のディーゼル機関を2基搭載していました。

兵装

トンブリの主兵装は、三年式の20.3cm連装砲2基で、これは当時の大日本帝国海軍の艦にも搭載されていたものと同様のものでした。主砲の最大射程は24,000mに達し、艦橋上には指向を管理するための方位盤が設置されていました。追加の武装としては、4基の3インチ高射砲、2基の毘式四十粍機銃、そして2丁の13mm高射機関砲が装備されています。

艦歴

トンブリは1940年に建造が完了し、同年の9月には日本から出港し、タイへと向かいました。その後、1940年11月23日に発生した泰・仏印国境紛争において活躍します。同艦は1941年1月17日にコーチャン島付近でヴィシー陣営側のフランス艦隊と交戦し、これはコーチャン島沖海戦と呼ばれています。この交戦中、トンブリは被弾し、さらに誤爆の被害を受け、最終的には転覆してしまいました。

その後のタイ政府の依頼により、川崎重工が艦を浮揚する作業を行い、日本のサルヴェージ会社による引き揚げ作業が成功しました。1941年8月28日、トンブリは再び浮上し、サッタヒープ軍港に到着しました。以降は係留され、練習艦として使用され続けましたが、1959年に除籍され、1967年に解体されました。

現在、艦橋の一部と主砲塔はサムットプラーカーン県のタイ海軍兵学校に保存されており、トンブリの遺産として訪れる人々にその歴史を伝えています。

参考文献

• - 橋本若路『海防戦艦　設計・建造・運用　1872～1938』イカロス出版、2022年。
• - Vincent P. O'Hara, The Royal Navy's Revenge and Other Little-Known Encounters of the War at Sea, Nimble Books, 2013。

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