海防戦艦

海防戦艦（Coastal defence ship）

海防戦艦は、主に自国の沿岸を守ることを目的とした軍艦の一種で、装甲艦に分類されます。自国近海の防衛を第一の使命とするため、小規模の海軍を有する国々で特に重用されてきました。

概要

海防戦艦は、「海防艦」の一分類であり、戦艦に準ずる高い戦闘力を持つ艦艇です。この艦種は、別名で海防甲鉄艦や装甲海防艦、海防戦闘艦などとも呼ばれ、基本的には、自国の防衛を目的とした艦艇です。通常、砲艦やモニター艦のような特殊な設計も含まれる場合があります。

例えば、大日本帝国海軍は、ロシア海軍が定義した沿岸防御装甲艦を鹵獲し、自軍の海防艦として編入しました。海防戦艦は、排水量が2,000トンから9,000トンの範囲内で、典型的には8インチから11インチの主砲を搭載しています。それに加えて、沿岸の防衛に適した構造が特徴的で、力強い装甲防御を備えています。

沿岸防衛の特性

この艦艇の設計は、沿岸での活動を想定しており、通常は水深の浅い海域での運用が可能です。そのため、喫水は浅めに設定され、長期間の航海や高速移動は考慮に入っていません。この結果、一般的に速度も遅く、航続距離も短いのが特徴です。

歴史的背景

1900年代前後、主力艦を自国で建造することが困難だった小国では、海防艦が海軍の中心的な役割を果たしていました。また、大国でも平時において主力艦を使う必要が薄れた場合に、海防艦が新たに建造されることがありました。

大日本帝国海軍では、明治時代に小型の艦体に当時の戦艦並みの大口径主砲を搭載した松島級海防艦が導入されましたが、次第に老朽艦の受け入れ先となりました。日本海の戦いでは、連合艦隊によって多くの艦艇が降伏し、一部は戦利艦として再就役しました。こうした変遷の中で、海防戦艦は徐々に役割を失い、第二次世界大戦後にはその姿を消していきました。

現在の状況

現在、海防戦艦の呼称は、護衛駆逐艦やフリゲート艦に相当するシーレーン護衛艦艇の分類に用いられることが多いです。戦艦が主力艦としての地位を完全に失ったことから、保有する国も存在していません。

海防戦艦の例

海防戦艦には、以下のような艦艇が存在します：

• - アルゼンチン海軍：インデペンデンシア級
• - ブラジル海軍：マーシャル・デオドーロ級
• - チリ海軍：カピタン・プラット
• - 大日本帝国海軍：見島、沖島
• - オランダ海軍：コーニンギン・レゲンテス級

これらの艦艇は、自国の沿岸防衛に特化した設計が施されています。また、国名や艦級によって、それぞれ異なる特性を有しています。

結語

海防戦艦は、戦艦としての地位を持ちながらもその役割が変わり続けてきた艦艇です。現代の軍艦の中で海防艦の意義がどのように再編成されているのか、今後も注目される領域です。

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