トンボ (印刷)

トンボとは

トンボとは、印刷物を制作する際に用いられる目印のことです。これらは仕上がりサイズに沿った正確な断裁や、多色印刷の際に使用される見当合わせのために重要な役割を果たします。トンボは一般的に、天地・左右の中央および四隅に配置され、見当標とも呼ばれます。

トンボの種類とそれぞれの用途

センタートンボ

センタートンボは印刷物の天地・左右の中央を示す目印で、特に多色印刷が行われる際には、これを基準にして見当合わせが行われます。このため、見当トンボやレジスターマークとも呼ばれます。両面印刷が必要な場合には、表裏の位置を合わせるためにも使われることがあります。通常、センタートンボは十字形をしており、その形が昆虫のトンボに似ていることが名称の由来です。

角トンボ

角トンボは、印刷物が最終的にどのようなサイズに断裁されるかを示す線です。センタートンボと同様、多色印刷の際には見当合わせの役割も果たすため、裁ちトンボ、コーナートンボ、またはクロップマークと呼ばれることもあります。通常、印刷物の仕上がりサイズを示す際だけでなく、裁ち落としを行うために3mm程度の塗り足し幅（ドブ）を示す二重線として表示されます。この二重線は内トンボ（仕上がりの部分）と外トンボ（塗り足しの部分）に分けることができます。

折りトンボ

折りトンボは、特に製本工程における紙の折り位置を示すために使用される目印です。通常は1本線で表示され、リーフレットなどの折り加工を行う際には重要な役割を持ちます。断裁を行う前に折るため、実際の折り加工ではトンボは不要ですが、DTP作業時には折った後の仕上がり範囲を把握する参考になります。

トンボ作成の変遷

トンボの歴史は長く、以前は熟練した職人がカラス口を用いて手書きで作成していました。A4などの規格サイズ用には特別な版下台紙が市販されていたものの、特異なサイズに対応するためには、細く正確なトンボを作成するためのトンボシールが使われていました。このシールは、中心部分を剥がして位置を定め、指で押さえることで簡単に固定できるようになっています。

その後、版下作成が機械化されると、仕上がりサイズを数値入力することで自動的にトンボが作成できるようになりました。さらに、製版作業の電子化やDTP化が進むことで、トンボの作成は特定のソフトウェアのコマンドの一部となってしまいました。現在では、代表的なDTP編集ソフトウェアであるAdobe Illustratorで、トンボを作成するための機能としてトリムエリアとトリムマークの2つのコマンドが存在し、ユーザーはトリムマークを使ってデータを入稿することが求められています。

関連情報

トンボは、昆虫の「トンボ」との形状の類似から名付けられており、印刷業界では非常に重要な役割を持っています。印刷に関連するさまざまな技術や概念に深く関わっているため、印刷業務においてその理解は不可欠です。

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