トークシャワー

朝の情報番組『トークシャワー』：1989年から1990年にかけて放送された、フジテレビ制作の朝の情報番組

1989年4月3日から1990年3月30日まで、フジテレビ系列で放送された『トークシャワー』。月曜から金曜の朝7時～7時40分、わずか1年間の放送でしたが、当時の朝の情報番組シーンに独特の色を添えた番組でした。

番組は、前番組である『FNNモーニングコール』の延長線上にあるかたちで放送されました。そのため、編成上は『FNNモーニングコール』の第2部という位置づけで、新聞のテレビ欄に番組名が掲載されない地域もあったほどです。オープニングの提供クレジットも「この番組は…」ではなく「ここからの放送は…」と、他の番組とは異なるスタイルをとっていました。

『トークシャワー』最大の特徴は、全国各地からの生中継を積極的に取り入れていた点です。1989年夏のSNG（サテライト・ニュース・ギャザリング）導入を前に、系列局のネットワークを最大限に活用し、毎日3～4箇所から生中継を行い、視聴者に新鮮な情報を届けていました。

総合司会を務めたのは、フジテレビアナウンサーの長野智子。朝ワイド番組の司会は2度目でした。長野の相手役として、個性的なキャラクターで人気を博していた松尾貴史（当時「キッチュ」名義）がパーソナリティとして出演していました。松尾は、この番組の司会就任を機に芸名を「松尾貴史」に改名しています。

番組には視聴者参加型のコーナーも多くありました。特に「FAXマン」として松尾が担当した「FAXトーク」は、視聴者から送られてきたFAXを紹介するコーナーで、当時は珍しかった視聴者参加型の試みとして話題を呼びました。FAXが採用された視聴者には、キャスターの顔写真入りテレフォンカードが贈られるなど、工夫を凝らした演出も人気でした。

松尾貴史は、半年後の1989年9月29日に『森田一義アワー 笑っていいとも!』の火曜レギュラーに抜擢されたため番組を卒業。その後は、木野花、長部日出雄、稲増龍夫、青島美幸といった各界の著名人が日替わりでコメンテーターとして出演しました。国際政治学者で後の東京都知事、厚生労働大臣である舛添要一も、短期間ですが出演していました。

番組の主題歌は、イルカが歌う伊勢正三作曲の「迎えに行く朝」。朝の番組にふさわしい、爽やかで温かいメロディーが、番組の雰囲気をさらに盛り上げていました。

『トークシャワー』は、ニュースと情報、そしてエンターテインメントを融合させた、先駆的な朝の情報番組でした。短命に終わったものの、『めざましテレビ』など、後の朝の情報番組に大きな影響を与えたといえるでしょう。番組の構成やコーナー、出演者、そして主題歌など、様々な要素が、1989年から1990年にかけての時代の雰囲気を色濃く反映しており、現代の視点からも興味深い番組となっています。

主なコーナー

ニュースシャワー: 番組初期は各地の系列局からのリレー形式のローカルニュースでしたが、後に小林穂波（『FNNモーニングコール』キャスター）と長野智子によるニュース解説コーナーに変化しました。
熱血!スポーツシャワー: スポーツニュースコーナー。
FAXトーク: 松尾貴史（その後は日替わりコメンテーター）が視聴者から送られてきたFAXを紹介するコーナー。優秀作品にはプレゼントが贈られました。
朝から失礼!トークへテレフォン: 八木橋修が担当。一般の人に電話をかけ、家族や友人との会話を紹介するコーナー。
* 曜日企画: 1989年10月からの日替わりコメンテーター導入に伴い開始。コメンテーターが自ら取材する企画もありました。

主な出演者

総合司会：長野智子
パーソナリティ：松尾貴史（～1989年9月）、日替わりコメンテーター（1989年10月～）、他多数。

主なネット局の中継レポーター

北海道文化放送、秋田テレビ、山形テレビ、仙台放送、福島テレビ…など全国の系列局から多くのレポーターが参加していました。

『トークシャワー』は、短い放送期間でしたが、その革新的な試みと個性的な出演者によって、多くの視聴者の記憶に刻まれた番組と言えるでしょう。

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