長部日出雄

長部 日出雄

長部日出雄（おさべ ひでお、1934年9月3日 - 2018年10月18日）は、日本を代表する小説家および評論家です。特に故郷津軽を題材とした作品で知られ、伝説的な作家たちと並ぶ存在です。ミュージシャンの大友康平はその甥です。

来歴

青森県弘前市で育った長部は、弘前市第一大成国民学校から弘前市立第三中学校、そして青森県立弘前高等学校を卒業しました。その後、早稲田大学第二文学部哲学科に入学しましたが中退し、読売新聞社に入社。1957年、週刊読売の記者としてのキャリアをスタートさせました。

長部は特に大島渚や永六輔、野坂昭如、筒井康隆、小林信彦などの新進作家をいち早く評価し、彼らとの親交を深めました。その後、ジャーナリズムの道を離れて、雑誌『映画評論』の編集者として活動し、映画評論家やルポライターとしても名を知られるようになりました。そして作家としての道を歩むことになります。

彼の名声は1973年、著書『津軽じょんから節』と『津軽世去れ節』によって増しました。この作品で第69回直木賞を受賞。その後も『鬼が来た－棟方志功伝』（1979年）で芸術選奨文部大臣賞、さらに『見知らぬ戦場』（1986年）で新田次郎文学賞を受けました。また、1989年には自らの原作・脚本・監督によって映画『夢の祭り』を制作しました。

晩年は主に評論作品に焦点を当て、特に天皇に対する関心が強まったことが特徴的です。彼は反共の立場を鮮明にし、民主党政権に対して厳しい非難を行いました。彼の自由な発想ながらも物議を醸す発言が多く、中国に対する視点も強調されていました。また、独特の表記スタイルとして、文章中に「々」を使わないことでも知られています。

作品

長部日出雄は多くの著作を残しましたが、その中でも特に津軽に関連する作品が多く見られます。彼の著書には、以下のようなものがあります：

• - 『死刑台への逃走』 1969
• - 『津軽世去れ節』 1972
• - 『鬼が来た 棠方志功伝』 1979
• - 『見知らぬ戦場』 1986
• - 『桜桃とキリスト もう一つの太宰治伝』 2002

彼の作品は、津軽の文化や人々、歴史を深く掘り下げて描写し、読者に強い印象を与えています。また、映画監督としても『夢の祭り』という作品を手掛け、若者たちの情熱を描くことで、彼の文学的テーマを視覚的に表現しました。

最後に

長部日出雄は2018年10月18日、虚血性心不全により東京都内の自宅で亡くなりました。享年84歳。その死は日本文学界に大きな穴を残しました。彼の作品は、今後も多くの人々に影響を与え続けるでしょう。

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