トーゴの鉄道

トーゴの鉄道史

トーゴの鉄道網の起源は、ドイツ帝国による植民地政策の結果、ドイツ領トーゴラントでの建設にさかのぼります。1904年に始まったロメ-アネホ鉄道の建設は、1905年に運営が開始され、当時のトーゴにおける鉄道の基準となるメーターゲージが採用されました。この鉄道は44kmの長さを持ち、トーゴの鉄道の最初の一歩として重要な役割を果たしました。

その後、1907年にはロメ-パリメ鉄道が、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世の誕生日を祝う形で運営を開始しました。さらに、1908年から計画され、1913年に167kmにまで延長されたロメ=ブリタ鉄道も加わりました。この鉄道はロメ-パリメ鉄道と分岐し、フランス委任統治下でも唯一延長された路線として位置づけられます。

第一次世界大戦後、トーゴは英仏によって分割統治されましたが、敷設された鉄道はフランス領にありました。フランスが委任統治を行っていた1922年まで、鉄道はトーゴ軍有鉄道（Togoland Military Railway, TMR）として運営され、隣国「黄金海岸」の鉄道会社である黄金海岸政府鉄道がその管理を行っていました。これにより、新しい機関車はイギリスから調達されました。1922年以降、鉄道はフランス語でトーゴ鉄道（Chemins de fer du Togo, CFT）と呼ばれるようになりました。

1934年にはロメ・アタクパメ鉄道の113kmの延長が開業し、トーゴの鉄道網はさらに発展を遂げました。第二次世界大戦後の1946年には、トーゴが国連信託統治領に昇格し、その際CFTは最後の蒸気機関車を導入しました。1964年までには、その大半がディーゼル機関車に置き換わり、古い客車は1970年代末まで運行されました。

1960年にトーゴ共和国が独立すると、引き続き植民地時代の鉄道網を利用していましたが、徐々に老朽化し、効率性が低下していきました。輸送手段がトラックにシフトする中、ルノーやデ・ディートリッヒからの新しい旅客車両の導入が進みましたが、1960年代には国内全線廃止の提案が出される事態となりました。

1961年、トーゴ北部のリン鉱山から22kmの私有鉄道がベナン鉱山公社によって運営を開始し、2007年からはトーゴ・リン新公社が引き継いで運行を続けています。また、1971年にはロメ-ブリタ鉄道から分岐するタブリグボへの新線が開通し、セメント原材料の輸送に特化しました。

1980年代には、トーゴの鉄道網は20両のディーゼル機関車、10両の車両、60両の客車、375両の貨車によって運営され、年間約150万人の旅客と114,000トンの貨物を輸送していました。しかし、1985年にはロメからアネホへの線路が廃止され、1990年代後半にはほぼすべての旅客輸送が停止しました。ついには1999年にロメからパリメ、及びブリタへの路線が閉鎖されました。

近年、アフリカ全体を鉄道で結ぶ「アフリカレール」プロジェクトが提案され、トーゴでもロメからの路線のアップグレードが検討されています。2014年には国境を越えてロメ港に至る支線が完成し、鉄道網の再建に向けた新たな希望が見えています。トーゴの鉄道は、現在も輸送業務を続けていますが、隣接国との接続は困難な状況にあります。

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