トーセンクラウン

トーセンクラウン：王冠を戴いた競走馬の軌跡

2004年4月16日生まれの競走馬、トーセンクラウン。その名は、冠名に「王冠」を組み合わせたものである。競走馬としてのキャリアは、1歳時の2005年北海道サマーセールで島川隆哉氏に1344万円で落札されたことから始まる。美浦の菅原泰夫厩舎に入厩し、競走生活への第一歩を踏み出した。

2歳となった2006年、8月13日の札幌芝1800mの新馬戦でデビューを迎えるも6着と結果を残せなかった。その後も幾度かのレースを経験する中で、中距離で能力開花を示し、10月28日の2歳未勝利戦で3馬身半差の圧勝劇を演じ、初勝利を飾る。続く東京スポーツ杯2歳ステークスでは4着、ひいらぎ賞では2着と好走を見せるも、重賞制覇には届かなかった。

3歳となった2007年は、寒竹賞、セントポーリア賞でそれぞれ6着、4着と期待に応えられず、弥生賞では8着と惨敗を喫する。しかし、八重桜賞で後方から鋭く追い上げ、差し切り勝ちを収め2勝目を挙げた。その後もエーデルワイスステークスで2着に入るなど善戦するも、古馬との対戦では苦戦を強いられた。

4歳（2008年）には、4歳上1000万下を制し3勝目をマークする。しかし、その後はオープン特別競走で惜敗が続く。府中ステークスでは14着、むらさき賞では12着と大敗を喫するなど、安定した成績を残すことはできなかった。夏場の休養を経て復帰戦では3着に入るものの、再び低迷期に入る。しかし、幕張特別を勝利し、準オープンへの再昇級を決めた。

5歳（2009年）には、スピカステークスを制し、オープン競走への昇級を果たす。その後も福島民報杯で5着に入るなど健闘を見せるものの、京王杯スプリングカップでは最下位に沈むなど、距離や展開に左右される一面を見せた。富士ステークスでは18着と大敗を喫するも、続く福島記念では3着と健闘し、このレースから引退まで江田照男騎手が手綱を取ることとなる。

6歳（2010年）には、ニューイヤーステークスで3着と好走を見せ、続く中山記念では13番人気ながら、不良馬場を味方につけインから抜け出し、2着馬に5馬身差をつける圧勝劇で重賞初制覇を飾る。続く日経賞でも3着と好走するも、GI初挑戦となった天皇賞（春）では降着となるアクシデントに見舞われた。このレースで負傷し、長期休養に入った。

7歳（2011年）の中山記念で復帰するも10着と惨敗。その後も日経賞、天皇賞（春）と振るわず、天皇賞（春）では左前繋靭帯不全断裂を発症。2011年5月7日付で競走馬登録を抹消された。

トーセンクラウンは、華々しい勝利と惜敗、そして故障による登録抹消という、ドラマチックな競走生活を送った競走馬であった。その短いながらも記憶に残る競走生活は、多くの競馬ファンに感動と惜しみない賛辞を与え続けた。祖母はサンデーサイレンスの全妹であるペニーアップという良血を受け継いでいたが、その才能を遺憾なく発揮できたのは中山記念での勝利のみだったと言えるだろう。その栄光と挫折の物語は、長く競馬ファンに語り継がれていくに違いない。

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