トーマス・ハント・モーガン

トーマス・ハント・モーガン（1866年9月25日 - 1945年12月4日）は、アメリカ合衆国出身の著名な遺伝学者です。彼は、特にキイロショウジョウバエを用いた研究を通じて、古典遺伝学の発展に多大な貢献をし、染色体が遺伝子の担体であるとする染色体説を実証しました。この業績が評価され、1933年にはアメリカ人として初めてノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

生い立ちとキャリア

モーガンは、ケンタッキー州レキシントンでユダヤ系の家庭に生まれました。彼は、コロンビア大学で教鞭をとり（1904年から1928年）、ウッズホール海洋生物学研究所でも研究員として活動しました。また、英国王立協会の外国人会員でもありました。

業績とその意義

モーガンは、動物学と発生学の研究を経て、ショウジョウバエを用いた遺伝学研究に注力しました。当時、メンデルの法則が再発見されたばかりで、遺伝子の実体がDNAであることはもちろん、その存在すら疑問視されていた時代です。

モーガンは、ショウジョウバエの様々な突然変異体を収集し、それらを交配させる実験を重ねました。その結果、1913年には染色体地図を作成することに成功しました（この業績は、モーガンの弟子の一人であるスターティヴァントが中心となって行われました）。さらに、唾液腺染色体の模様と比較することで、染色体上における遺伝子の位置を特定し、遺伝子が染色体上にあることを明確に証明しました。

彼の研究室は「蠅の部屋」（Fly Room）として知られ、現在でもコロンビア大学のシェマーホーン・ホール内に保存されています。

モーガンの研究以前は、遺伝子は抽象的な概念として扱われていました。しかし、染色体説の実証によって、遺伝子を染色体上に配列する物質として研究する道が開かれ、その後の遺伝学の発展に決定的な影響を与えました。また、それまで実験材料として使われていた作物や家畜に代わり、ショウジョウバエという優れたモデル生物を遺伝学の研究に導入したことも大きな功績です。モーガンの研究室からは、彼自身の弟子や孫弟子を含め、7人ものノーベル賞受賞者が輩出されたことからも、その影響力の大きさが伺えます。

受賞歴

1922年：クルーニアン・メダル
1924年：ダーウィン・メダル
1933年：ノーベル生理学・医学賞
1939年：コプリ・メダル

関連事項

染色体
染色体説
古典遺伝学
遺伝子
ショウジョウバエ
メンデルの法則
メンデル・サットン・ボヴェリ
キイロショウジョウバエ
プラナリア
トーマス・ハント・モーガン・メダル

外部リンク

Nobel e-Museum
Nobel Prize Biography
Thomas Hunt Morgan Biological Sciences Building at University of Kentucky
Thomas Hunt Morgan

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