トーリー島の海戦

トーリー島の海戦

トーリー島の海戦（Battle of Tory Island）は、1798年10月12日にアイルランドのドニゴール県沖で展開された、フランス革命戦争の一部として行われたいわゆる水上の戦闘です。戦闘はフランスとイギリスの軍勢が対峙し、アイルランド独立を求めたウルフ・トーンの指導するユナイテッド・アイリッシュメンの運動が大きく関与しました。この戦闘は、アイルランドにおけるフランスの軍事介入の最終的な試みにあたります。

背景

1798年のアイルランドにおいて、ウルフ・トーン率いるユナイテッド・アイリッシュメンはイギリスの支配に対抗して蜂起を起こしました。フランスは、アイルランドに軍勢を送ることで、イギリスに対するプレッシャーをかけるという目論見を持っていました。実際、1798年5月に発生した蜂起には、フランスの軍勢が介入し、イギリス軍と数度にわたる衝突が繰り返されましたが、フランス軍は苦境に立たされていました。

フランスは、ウルフ・トーンの降伏の報を知らないまま、1798年9月16日に再度の援軍をアイルランドに展開することを決定しました。ところが、フランス軍はイギリス海軍の厳しい監視を受け、制海権を失ったことで、必然的にトーリー島近くの海域での戦闘に突入することとなります。

戦闘の経緯

トーリー島の海戦では、フランス艦隊が逃走を試みるも、戦いの中で次々とイギリス艦隊に捕らえられてゆきます。イギリスは、艦数が多かったものの、フランス艦隊の指揮を執るボンパールが指揮するフリゲート艦との間で激しい戦闘を展開しました。

フランス側は数隻が撃沈され、フランス艦隊の指揮官ボンパールも降伏せざるを得なくなります。最終的に彼は体力を尽くし、戦闘に参加していた数隻の艦は全てイギリス海軍に拿捕されました。フランス艦隊はその前に致命的な損害を受け、出撃した艦船のほとんどが帰還することなく壊滅してしまいました。

戦闘の結果とその影響

トーリー島の海戦は、フランス海軍によるイギリス本土侵入の試みとしては最後のものであり、アイルランドにおけるフランスの支援の根本的な衰退を意味しました。戦闘の後、ウルフ・トーンは逮捕され、重罪として処罰される運命に見舞われます。トーンは最終的に自ら命を絶ち、その死はアイルランドにおける独立運動の象徴となりました。

イギリス側にとって、この戦闘は大きな勝利と見なされ、議会から表彰されることとなり、戦功を重ねた士官たちは昇進しました。また、他の艦隊同様、侵略に関連した艦船はイギリス海軍の一部として帰属されました。

結論

トーリー島の海戦は、アイルランドの独立運動とヨーロッパ大陸におけるフランスの軍事的展開において、画期的な出来事であり、この戦争の波乱の中で両国に深い影響を与えました。アイルランドにおけるフランスの支持は終焉を迎え、この地域の歴史に新たな章を刻むこととなりました。

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