ドイツの国章

ドイツの国章に関する詳細

ドイツ連邦共和国の国章は、金色の背景に黒い鷲を配したデザインで、その象徴性と歴史的背景には多くの魅力があります。現在の国章が公式に定められたのは1950年のことですが、鷲をモチーフとしたデザインは、昔からドイツを代表するシンボルとして広く知られています。

鷲の象徴性

鷲は、ヨーロッパにおいて力強さと勇気の象徴とされ、古代から多くの権力者に尊ばれてきました。その意味を和らげることなく、鷲は常に食物連鎖の頂点に立つ存在であり、これがドイツ国章への採用に繋がったのです。このモチーフは、8世紀頃のカール大帝の時代から使用されており、13世紀初頭には神聖ローマ帝国の皇帝の紋章として正式に認められるに至ります。

歴史的変遷

1433年、神聖ローマ帝国の紋章として「双頭の鷲」が採用され、その後も15世紀半ばまで歴代皇帝の象徴として用いられました。この双頭の鷲のデザインは、オーストリアのハプスブルク帝国に引き継がれました。1848年にはフランクフルト国民議会により、皇帝の権威を排除しつつ新たな国章として「双頭の鷲」が決定されました。

1867年には、プロイセン王国のもとに北ドイツ連邦が成立し、新たな紋章が設定され、そこにも引き続き鷲が登場します。そして1871年、ドイツ統一によってプロイセン王国の国章がドイツ帝国の国章となり、四つの皇帝のシンボルを中心にした鷲が描かれました。

鷲と政権の変化

その後も、鷲は1918年に始まるワイマール共和政、さらに1933年のナチス・ドイツの成立に伴っても引き続き国章に残り続けています。ワイマール共和政の国章では、過去の皇帝のシンボルを排除した新たなデザインが採用され、一方、ナチス・ドイツ時代には鷲が鉤十字の上に配される形となりました。

1950年には、ドイツ連邦共和国が成立し、ワイマール鷲を基にしながらデザインの簡略化が図られ、新しい国章が定められました。この新章は「連邦鷲」(Bundesadler)と称されるようになります。

東西ドイツと国章の違い

同じ年に成立したドイツ民主共和国（東ドイツ）は、国章に鷲を使用せず、当初は労働者を象徴するハンマーのデザインを採用します。しかし、1965年には社会主義の内容を強調した新しいデザインに変更されるなど、東西での国章の在り方には明確な違いがありました。最終的に1990年のドイツ再統一によって、東ドイツの国章はその役割を終えました。

関連事項

ドイツの国章に限らず、国章全般に関する情報や、国旗、国歌、さらにはユーロ硬貨など、関連する情報は非常に豊富です。国章はその国の歴史や文化を映した重要な象徴と言えるでしょう。

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