ドイツワイン
ドイツワインは、その名の通りドイツで生産されるワインです。
ドイツは冷涼な気候のため、ブドウ栽培は主に南部に限られています。ブドウ栽培の北限に近く、フランスに近いライン川やその支流沿いが主な産地です。ラインガウやラインヘッセン、モーゼルなどが代表的な産地として知られています。
ブドウ品種は、安価なワインにはミュラー・トゥルガウが使われますが、貴腐ワインなどの高級白ワインはほとんどがリースリングです。
ドイツワインは白ワインが圧倒的に多く、厳しい気候条件から黒ブドウは十分に色づきません。そのため、赤ワインは比較的色が薄いのが特徴です。しかし、高緯度を利用し、夏季の長い日照時間を確保することで、凝縮度が高く、独特の酸味と果実味豊かなワインが生まれます。この酸味が、ドイツワインの長期熟成を可能にし、殺菌効果にも繋がると言われています。
ブドウ畑は、川に面した南向きの斜面に位置することが多く、直射日光と川からの反射光によって日照量を確保し、川から発生する霧が寒さから畑を守ります。モーゼルのブレマー・カルモントのように、最大傾斜70度近い畑も存在し、土壌の性質と相まって、味わいに特徴のあるワインが生まれます。
ドイツワインは甘口のイメージが強いですが、これはかつて最大の輸出先であったアメリカで甘口が好まれたためです。
日本では、第二次世界大戦後、井上鍾氏が高級ドイツワインの輸入を始め、その後、古賀守氏らの尽力により、1985年頃までドイツワインは国別輸入量でトップの地位を占めていました。
ドイツワインは、以下の等級に分類されます（低い順から）。
ターフェルヴァイン (Tafelwein): 日常消費用のテーブルワイン。ドイツ産ブドウを使用していなくても名乗れます。ドイツ産のものは「ドイチャー・ターフェルヴァイン」と呼ばれます。
ラントヴァイン (Landwein): 地酒に相当するワインで、1982年に設けられました。
クヴァリテーツヴァイン・ベシュティムター・アンバウゲビート (QbA): 特定産地で製造された上質ワイン。単に「クヴァリテーツヴァイン」とも呼ばれます。補糖が可能です。
プレディカーツヴァイン (Prädikatswein): 「肩書き付きワイン」。旧称は「クヴァリテーツヴァイン・ミット・プレディカート (QmP)」。以下の6つの「肩書き」に細分化されます。補糖は認められていません。
カビネット (Kabinett): QmPの中で最も糖度の低いブドウから造られます。
シュペートレーゼ (Spätlese): 「遅摘み」の意味で、カビネットより糖度が高いブドウを使用します。
アウスレーゼ (Auslese): 「房を選別して収穫」したブドウで造られ、シュペートレーゼよりさらに糖度が高くなります。
ベーレンアウスレーゼ (Beerenauslese, BA): 「粒を選別して収穫」したブドウを使用し、稀に貴腐ワインとなります。
トロッケンベーレンアウスレーゼ (TBA): 「乾燥した粒を選別して収穫」したブドウを使用。貴腐化していることが多いです。
アイスヴァイン (Eiswein): 樹になったまま凍結したブドウから造られます。
QbA以上の等級には、公的検定番号 (A.P.-Nr.) がラベルに表示されます。
ワイン生産者が自社畑でブドウを栽培・収穫し、醸造・瓶詰めまで一貫して行う場合、「エアツォイガーアプフュルンク (Erzeugerabfüllung)」をラベルに明示できます。さらに、特定の条件を満たす場合は「グーツアプフュルンク (Gutsabfüllung)」を表示できます。
近年、ドイツでは辛口ワインの表示に力が入れられており、「クラシック」や「セレクション」といったカテゴリーが設けられています。また、ドイツ高級ワイン生産者連盟（VDP）は、以下の高級辛口・甘口ワインの標章を設けています。
グローセス・ゲヴェックス (Großes Gewächs): 超1級畑認定の高級辛口ワイン。
エアステス・ゲヴェックス (Erstes Gewächs): VDPラインガウが1級畑と認定した高級辛口ワイン。
エーデルズュース・シュピッツェン (Edelsüße Spitzen): VDPラインガウが1級畑と認定した高級甘口ワイン。
エアステ・ラーゲ (Erste Lage): 各地域の生産者連盟が認めた1級畑の高級辛口及び甘口ワイン。
アール: シュペートブルグンダーを使用した、軽めで芳香豊かな赤ワインが中心。
モーゼル: リースリング主体で、構成のしっかりしたワインが多い。
ラインガウ: リースリング主体で、華やかなワインが多い。
ラインヘッセン: 多様なワインを生産。高級品も存在する。
ナーエ: リースリング主体。
ラインラント＝プファルツ (プファルツ): リースリング主体。
バーデン: 多様なワインを生産。
フランケン: ジルヴァーナを使用した辛口ワインが中心。ボックスボイテルという扁平なボトルが特徴。
ヴュルテンベルク: レンベルガーなどを使用した赤ワインが多い。
ザクセン: ドイツ最北の産地。辛口白ワインが中心。
ザーレ・ウンシュトルト: 旧東ドイツの産地。辛口白ワインを生産。
ヘッシシェ＝ベルクシュトラーセ: リースリング種の白ワインが多い。
* ミッテルライン: リースリングなどから作られる、フレッシュな酸味を持つ白ワインが多い。
概要
ドイツは冷涼な気候のため、ブドウ栽培は主に南部に限られています。ブドウ栽培の北限に近く、フランスに近いライン川やその支流沿いが主な産地です。ラインガウやラインヘッセン、モーゼルなどが代表的な産地として知られています。
ブドウ品種は、安価なワインにはミュラー・トゥルガウが使われますが、貴腐ワインなどの高級白ワインはほとんどがリースリングです。
ドイツワインは白ワインが圧倒的に多く、厳しい気候条件から黒ブドウは十分に色づきません。そのため、赤ワインは比較的色が薄いのが特徴です。しかし、高緯度を利用し、夏季の長い日照時間を確保することで、凝縮度が高く、独特の酸味と果実味豊かなワインが生まれます。この酸味が、ドイツワインの長期熟成を可能にし、殺菌効果にも繋がると言われています。
ブドウ畑は、川に面した南向きの斜面に位置することが多く、直射日光と川からの反射光によって日照量を確保し、川から発生する霧が寒さから畑を守ります。モーゼルのブレマー・カルモントのように、最大傾斜70度近い畑も存在し、土壌の性質と相まって、味わいに特徴のあるワインが生まれます。
ドイツワインは甘口のイメージが強いですが、これはかつて最大の輸出先であったアメリカで甘口が好まれたためです。
日本では、第二次世界大戦後、井上鍾氏が高級ドイツワインの輸入を始め、その後、古賀守氏らの尽力により、1985年頃までドイツワインは国別輸入量でトップの地位を占めていました。
ドイツワインの公的分類
ドイツワインは、以下の等級に分類されます（低い順から）。
ターフェルヴァイン (Tafelwein): 日常消費用のテーブルワイン。ドイツ産ブドウを使用していなくても名乗れます。ドイツ産のものは「ドイチャー・ターフェルヴァイン」と呼ばれます。
ラントヴァイン (Landwein): 地酒に相当するワインで、1982年に設けられました。
クヴァリテーツヴァイン・ベシュティムター・アンバウゲビート (QbA): 特定産地で製造された上質ワイン。単に「クヴァリテーツヴァイン」とも呼ばれます。補糖が可能です。
プレディカーツヴァイン (Prädikatswein): 「肩書き付きワイン」。旧称は「クヴァリテーツヴァイン・ミット・プレディカート (QmP)」。以下の6つの「肩書き」に細分化されます。補糖は認められていません。
カビネット (Kabinett): QmPの中で最も糖度の低いブドウから造られます。
シュペートレーゼ (Spätlese): 「遅摘み」の意味で、カビネットより糖度が高いブドウを使用します。
アウスレーゼ (Auslese): 「房を選別して収穫」したブドウで造られ、シュペートレーゼよりさらに糖度が高くなります。
ベーレンアウスレーゼ (Beerenauslese, BA): 「粒を選別して収穫」したブドウを使用し、稀に貴腐ワインとなります。
トロッケンベーレンアウスレーゼ (TBA): 「乾燥した粒を選別して収穫」したブドウを使用。貴腐化していることが多いです。
アイスヴァイン (Eiswein): 樹になったまま凍結したブドウから造られます。
QbA以上の等級には、公的検定番号 (A.P.-Nr.) がラベルに表示されます。
ワイン生産者が自社畑でブドウを栽培・収穫し、醸造・瓶詰めまで一貫して行う場合、「エアツォイガーアプフュルンク (Erzeugerabfüllung)」をラベルに明示できます。さらに、特定の条件を満たす場合は「グーツアプフュルンク (Gutsabfüllung)」を表示できます。
近年、ドイツでは辛口ワインの表示に力が入れられており、「クラシック」や「セレクション」といったカテゴリーが設けられています。また、ドイツ高級ワイン生産者連盟（VDP）は、以下の高級辛口・甘口ワインの標章を設けています。
グローセス・ゲヴェックス (Großes Gewächs): 超1級畑認定の高級辛口ワイン。
エアステス・ゲヴェックス (Erstes Gewächs): VDPラインガウが1級畑と認定した高級辛口ワイン。
エーデルズュース・シュピッツェン (Edelsüße Spitzen): VDPラインガウが1級畑と認定した高級甘口ワイン。
エアステ・ラーゲ (Erste Lage): 各地域の生産者連盟が認めた1級畑の高級辛口及び甘口ワイン。
主な生産地域
アール: シュペートブルグンダーを使用した、軽めで芳香豊かな赤ワインが中心。
モーゼル: リースリング主体で、構成のしっかりしたワインが多い。
ラインガウ: リースリング主体で、華やかなワインが多い。
ラインヘッセン: 多様なワインを生産。高級品も存在する。
ナーエ: リースリング主体。
ラインラント＝プファルツ (プファルツ): リースリング主体。
バーデン: 多様なワインを生産。
フランケン: ジルヴァーナを使用した辛口ワインが中心。ボックスボイテルという扁平なボトルが特徴。
ヴュルテンベルク: レンベルガーなどを使用した赤ワインが多い。
ザクセン: ドイツ最北の産地。辛口白ワインが中心。
ザーレ・ウンシュトルト: 旧東ドイツの産地。辛口白ワインを生産。
ヘッシシェ＝ベルクシュトラーセ: リースリング種の白ワインが多い。
* ミッテルライン: リースリングなどから作られる、フレッシュな酸味を持つ白ワインが多い。
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