ドイツ民主共和国の地方行政区画

ドイツ民主共和国（東ドイツ）の地方行政区画

ドイツ民主共和国（東ドイツ）の地方行政区画は、その成立からドイツ再統一までの間に大きく変化しました。大きく分けて、初期の州制時代、中期の県制時代、そして再統一直前の州復活時代の3つの時期に分けられます。

1949年～1952年：州制時代

1949年のドイツ民主共和国成立当初は、5つの州（Land）が存在する連邦制でした。各州の代表から構成される共和国参議院（Länderkammer）は、旧西ドイツの連邦参議院に相当する役割を担っていました。

1952年～1990年：県制時代

1952年、地方行政区画は14の県（Bezirk）に再編され、共和国参議院は廃止されました。この改革により、東ドイツは中央集権体制へと移行しました。県は、経済計画や行政執行の中心的な単位として機能しました。

1990年：州の復活

ドイツ再統一を目前に控えた1990年7月23日、人民議会は州の復活を決定しました。これにより、5つの州が再設置され、これらは「新連邦州（Neue Bundesländer）」、「新5州」、「東ドイツ5州」などと呼ばれました。ただし、復活した州の境界線は、1952年以前の州とは完全に一致しているわけではありません。

行政区画の比較

以下は、1990年に成立した5つの州（新連邦州）と、1952年から1990年まで存在した14の県との対応関係を示したものです。ただし、前述の通り、境界線が変更された地域もあるため、完全な対応関係ではありません。

メクレンブルク＝フォアポンメルン州：ロストック県、シュヴェリーン県、ノイブランデンブルク県
ブランデンブルク州：コトブス県、フランクフルト（オーダー）県、ポツダム県
ザクセン＝アンハルト州：マクデブルク県、ハレ県
ザクセン州：ライプツィヒ県、ドレスデン県、カール＝マルクス＝シュタット県
テューリンゲン州：エアフルト県、ゲーラ県、ズール県

例として、ザクセン＝アンハルト州は、ハレ県のアルテルン郡がテューリンゲン州に移管され、ブランデンブルク州に属することが決定したコトブス県のイェッセン郡を編入しています。

東ベルリンの特殊性

東ベルリンは、事実上東ドイツの首都でしたが、国際法的には連合国軍4か国（米・ソ・仏・英）の占領下にあるベルリンのソ連管理地域という位置づけでした。そのため、厳密には東ドイツ領ではなく、県も州も設置されていませんでした。しかし、ドイツ再統一後にドイツに返還されました。

まとめ

東ドイツの地方行政区画は、政治体制の変化とともに変遷しました。初期の連邦制から中央集権的な県制へ、そして再統一に向けた州の復活という流れは、東ドイツの歴史を反映しています。

関連項目

ドイツの地方行政区分

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